第5話

正体
675
2018/04/15 07:48
俺達は山奥へと足を進める。
佐野悠哉
やっぱ、山奥だと涼しいなぁ…
美竹友紀
空気も新鮮だよね。
武藤咲羅
なんか探検隊みたいで楽しい!
長月未菜
その気持ち分かる!!
源武光
何でもいいけど、うっかりして足を滑らしたりするなよ?
今村奏叶
そんな誰も落ちやしないって〜
藍澤真咲
一番、うっかり落ちそうなのは悠哉だな。
佐野悠哉
はぁ!?酷いぞw
美竹友紀
まぁ、気をつけたらいいじゃないですか。
佐野悠哉
そうだ!
悠哉が冗談混じりに笑った途端、俺達の視界から消えた。
美竹友紀
え!?
武藤咲羅
悠哉が消えた!?
不思議に思い、武光と真咲が悠哉が消えた辺りを覗き込んだ
藍澤真咲
ほ〜ら、やっぱり一番に落ちたのはお前じゃねーかよ。
源武光
大丈夫かぁ?
佐野悠哉
お、おう……
覗くと坂道になっている先に悠哉が転げ落ちたらしく土塗れになっているのが見えた。
佐野悠哉
それよりあれ…!
悠哉が俺達の方を指さしたので、俺達はつられて後ろを向く。
そこには、少し地面が高い位置にあるツタが絡まっている家が見えた。
美竹友紀
あそこに誰かいないかな…?
武藤咲羅
それなら、この探検隊で行ってみようよ!!
佐野悠哉
おぉ!行ってみようぜ!
いつの間にか悠哉が戻ってくる。
源武光
まぁ、気をつけて行ってみるか住んでいるのが大人だとな…
今村奏叶
ああ…
〜少し歩きツタの絡まっている家の前〜
美竹友紀
あ、チャイムがついているよ。
???
押してみるか?
今村奏叶
いいけど、誰が押すんだ?
藍澤真咲
武光。
長月未菜
武光行きなよ。
武藤咲羅
頑張って武光!
佐野悠哉
勿論、武光だろ。
源武光
はぁ!?何で俺!?
今村奏叶
お前ら…
美竹友紀
なんか可哀想…
佐野悠哉
は?じゃあ、武光怖いのか?ビビりだから押せないのか?w
源武光
こんなの別に怖くねーし!
藍澤真咲
なら、押してみろよ。
佐野悠哉
そうだそうだー
源武光
押してやる!!
武光はどんだけ乗せられやすいんだよ…
武光がチャイムを鳴らすとチャイムから声が聞こえ始めた。
少年
はいは〜い!!
美竹友紀
この声は幼い子供…ボソッ
???
こらっ、何勝手に出てるの!
少年
すいませーん
少し大人びてる声の持ち主に変わった。
???
あ、すいませんね。えっと何方でしょうか?
源武光
あ、俺達未成年です。あの消えた子供達を探して山に入ったらここまで来ちゃって…良かったら中に入らせて貰えませんか?
???
あぁ、いいですよ。
源武光
ありがとうございます!
???
いえ、ちょっと待っていてください。今、迎えを向かわせますんで…
そこで会話は途切れた。
長月未菜
ねぇ、最初に出た子って小さな男の子の声だったよね?
藍澤真咲
ああ…確実に高校生とかの年齢の声じゃない。
美竹友紀
ここにいるのかもね…
すると、中学生と見られる女子が出てきた。
女子
こんにちは。さっき、チャイムを鳴らしたのは貴方達ですか?
源武光
は、はい!
女子
中へどうぞ。
そういって俺達を家の中へと入れてくれた。
家の中はには何も無く誰も住んでいる様子が無い部屋だった。
武藤咲羅
何も無いね…
長月未菜
うん…
女子
私についてきてください。
その子は歩きだし部屋の奥へと向かう。
藍澤真咲
どこ行くんだ…?
今村奏叶
さぁ、けどついて行こう。
女の子は部屋にある隠し扉を開けるとそこに現れたのは地下へと続く階段だった。
佐野悠哉
こんなところに隠し扉が…
女子
どうぞ、こちらへ。
階段を降りるように促したので俺達が入ると隠し扉を閉め俺達の後ろをついてくる。
女子
あ、地下に着いたら靴は脱いでくださいね。土足禁止なので。
長月未菜
はい!
広げた場所に出ると、そこには扉がついていて床には小さな大量の靴が散乱していた。
女子
えっと、靴箱にお願いします。
光景に呆れたように苦笑いを浮かべながら言う女の子に俺達は従った。
藍澤真咲
えっと、結局ここは何処?
佐野悠哉
うんうん。
女子
真実はスグに分かりますよ。
その子は全員が靴を脱いだことを確認すると扉を開けてくれた。
そこには……

幼児と思われる子から小学生、また少し大きい中学生などが遊んでいた。
女子
隣の部屋に行ってくださいね。
扉がない入口が3つある中の1つを指差して少し笑っている
今村奏叶
ありがとう。
女子
いえいえ。
女子
美歌ー!早く遊ぼー!
女子
あ、うん!では…
美歌と呼ばれる女の子は、友達のところに走って行った。
武藤咲羅
凄いね…
源武光
ああ…神隠しで消えたと思われた子供達が沢山いる…
すると、幼い少女が来る。
少女
お兄ちゃん達も遊ぶ?
藍澤真咲
あーっと…ちょっと話したいことがあるかな話し終わってからでもいいか?
少女
うん!
長月未菜
またあとで遊ぼうね〜!
少女
待ってる!!
今村奏叶
えっと、隣の部屋だよな…
佐野悠哉
ああ…
俺達は美歌ちゃんが指示した部屋に向かう。
部屋に入ると……やはり、沢山の子がいた。
ただ一つ違うことと言えば…

部屋の中に1人だけ明らかに他の子達より、身長が大きいフードを被った人が膝に座っている子に本を読んでいた。
美竹友紀
美歌ちゃんはあの人と話せと言いたいんじゃない?
藍澤真咲
ゆ、悠哉、話しかけろよ。
佐野悠哉
ったく…しゃあねーな。
悠哉がその子に近づく。
佐野悠哉
あの〜、すいません…
すると、反応して読むのをやめる。
???
ちょっと待っててね、少しお話をしてくるから。
少女
はーい!!
少女は本を持って降り、隣の部屋に行く。
その子は立ち上がり俯いていた顔をあげた。
佐野悠哉
!………お前…
???
久しぶりだね、悠哉、奏叶。
そこには次のステージに向かうと言っていた舞が立っていた。
今村奏叶
やっぱりこの島にいたか、舞。
神崎舞
まぁね。
舞は話しながらフードをとる。
二年前よりも伸びた髪が降ろされる。
佐野悠哉
舞ちゃん、髪伸びたね。
神崎舞
二年伸ばしたからさ。それで?後ろにいる人達は奏叶達のお友達かな?
今村奏叶
あ、そうそう。えっと、自己紹介してもらっていい?
源武光
ああ、俺は源武光。奏叶達と同じ高校だ。
藍澤真咲
俺は藍澤真咲。奏叶達とは違う高校で交換留学で今は一緒に生活している。
長月未菜
私は長月未菜!真咲と同じ高校だよ!
武藤咲羅
私は武藤咲羅と言います、高校は真咲と同じ。
美竹友紀
美竹友紀です、奏叶達と同じ高校に通っています。
神崎舞
えっと、僕は神崎舞。夏の間はいつも御嵩島で暮らしてる。
今村奏叶
俺と悠哉は要らないよな?
神崎舞
勿論、けどそこの…人…は…
舞は語尾が段々小さくなりながら、あの男子の方を見ている。
???
舞、俺のこと覚えているか?
神崎舞
え………え?
???
俺は6年前、心肺停止になったけど奇跡的にまた心臓が動き出したんだ。
今村奏叶
……。
6年前…1回目のDEATH GAME……
…舞の知り合い…まさか……
神崎舞
柊翔な、のか…?
倉持柊翔
ああ、俺だ。
舞の目に涙が浮かんでいる。
神崎舞
お前なぁ、僕がどんだけ罪悪感を持ったと思ってるんだよ!6年間もいなくなりやがって…!
柊翔の胸倉を掴んで呟いている
倉持柊翔
ごめんごめん、けどまた会えただろ?
無言で頷き舞が俺達の方を向く。
神崎舞
……えっと…ちょっと話がズレたね…ごめん。
今村奏叶
あ、ああ…まぁいいけど、そのさ。この子供達は何なんだ?神隠しの正体はお前だったのか?
神崎舞
神隠しって?
美竹友紀
夏になると子供達が朝から夕方までいなくなるんだって、大人達はそのことを"神隠し"って呼んでいるらしいよ。
舞は不思議そうな表情をしている。
神崎舞
え、神隠しって夏になるとこの子達が僕の家に集団で遊びに来て、朝から夕方までいることのこと言ってんのか?
藍澤真咲
つまり、ほぼ原因は舞ちゃんってことだな。
神崎舞
えぇ…
今村奏叶
まぁ、御嵩島の神隠しの正体は島の子供達が夏休みになると来る舞の家で朝から夕方まで遊んでることってわけかよ。
神崎舞
そうなるね、てか神隠しって…
武藤咲羅
ただ遊んでただけなのにね〜
神崎舞
ほんと、まぁみんな遊んで来たら?あの子達もお兄さんとかお姉さんが遊んでくれると嬉しいと思うし…
長月未菜
私、遊びたい!
武藤咲羅
私も〜!
藍澤真咲
それじゃ、休憩だな。
源武光
ああ。
4人はそう言い子供達がいる部屋に向かった
俺は悠哉と目を合わす。
佐野悠哉
なぁ、舞ちゃん。
神崎舞
ん?
今村奏叶
その柊翔くん?も一緒に4人で話しがしたいんだけどいいか?
倉持柊翔
俺はいいぞ。
神崎舞
まぁ、僕もいいけどケーキ焼いている最中だから焼きあがったら抜けるよ?
今村奏叶
ああ、それまでに終わらす。
神崎舞
うん、なら別にいいよ。
倉持柊翔
椅子、座ってもいいか?
神崎舞
勿論。
そして、俺達はしっかりと話し合えるように椅子に座った。

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