………そこは森の中だった。
…僕、森にいたっけ?
たしか、柊翔と再会して話をして少し疲れて部屋のソファに寝たんだよな…
少し遠くを見るとそこは見慣れた風景…
取り敢えず、森の中へ戻る。
森の中は涼しく僕のお気に入りだ。
崖の近くから見る森の景色が一番綺麗。
見に行こうと思い崖の方に向かう。
すると、普段は来ない大人達が来た。
誘われてついていくと崖に出てきた。
何で崖…?そして何で僕が探されてた?
すると、いきなり脇腹を銃弾が掠めた。
私は血が流れる脇腹を押さえながら、掠れた声で聞く。
そう言い放たれると、僕の体はフワリと浮き上がり、僕は空中に投げ出された。
みんなが僕の視界から遠ざかっていく。
背中に受け続ける風の勢い。
………僕、崖から落とされたのか…
この高さじゃ死ぬかな?
それともまだ生きていられるかな?
………まだ、アイツらと遊びたかったな…
そう思った瞬間、崖下の森に入り右腕に切り裂くような鋭く強い痛みを感じた。
そして、僕は右腕の痛みのスグ次に、更なる強い痛みを感じることとなった。
……だ、れ…?誰か僕の呼んでる…?
柊翔に呼びかけられていることに気付き、僕は薄らと瞼を開き辺りを見回す。
すると、目の前には柊翔が、周りには奏叶達と子供達が心配そうな表情で僕を見ている。
いつの間にか汗びっしょりだ…
突如、右腕の傷に鋭い痛み。
僕は表情を歪め右腕をぎゅっと握った。
子供達は奏叶の連れを一部引っ張って行き、立ち去る。
そういうと、柊翔は少し震えながら右腕を掴んでいる左手を優しく握ってくれた。
柊翔は僕に向かって笑った。
すると、1階から…
バタンッッッ!!!
突然の音に子供達と奏叶達が騒ぎ出す。
あ〜あ…いつか見つかるとは思ったけど…
こんなところで大人にみんなが殺されてたまるか、理不尽に殺されてたまるか…!
僕は少し痛む右腕を上げ、中指と人差し指、親指を立てる。
奏叶達は不思議そうに僕を見てるねぇ…
……けどね?
僕が親指、人差し指、中指を立てるのは静かになることを指示するハンドサイン。ここに遊びに来る子達はみんな知ってるんだよね〜
奏叶達は作戦を知ってる子達に作戦の内容を教えて貰っている。すると、柊翔が僕の方に寄ってくる。
少し笑って見せると、柊翔がフードを被ってるにも関わらず、頭を直接撫でてきた。
12歳の時は身長も手の大きさも同じくらいだったのに…6年でこんなに変わるのか……
昔同じくらいの身長だった柊翔は余裕で僕の身長を抜かし、同じ大きさだった手も大きく感じられる。
………ん?え、ちょっと待て。考え直せ。
…可愛いって今言ったか?
柊翔の言葉に思わずムッとする。
と、いい頭を軽くポンポンとされる。
それが子供扱いって言うんだよ、馬鹿…
作戦にはしゃぐ女子組、に対して…
何か他の話で盛り上がってるのかな?
まぁ、それはともかく…今回のDEATH GAME
大人には悪いけど、未成年に勝たせるよ。
そして、終止符を打つ…
…ゲームの始まりは第一段階。
僕はこれから勇気を持つ、どんなに辛い人生だと分かってもそれに立ち向かう勇気。
それは斗真が教えてくれたんだ…
『簡単に殺られるなら勇気を持って立ち向かう方がかっこいいだろ?』
だったかな…
理不尽なゲームを終わらせる為に今は ──
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。