第7話

斗真の言葉
617
2018/05/13 00:29
………そこは森の中だった。
神崎舞
あれ?
…僕、森にいたっけ?
たしか、柊翔と再会して話をして少し疲れて部屋のソファに寝たんだよな…
少し遠くを見るとそこは見慣れた風景…
神崎舞
僕の村だ…
取り敢えず、森の中へ戻る。
森の中は涼しく僕のお気に入りだ。
崖の近くから見る森の景色が一番綺麗。
見に行こうと思い崖の方に向かう。
神崎舞
久しぶりだなぁ…
すると、普段は来ない大人達が来た。
村人
お、舞か。
村人
やっと、見つけた〜
神崎舞
え?僕のこと?
村人
そうそう、ちょっとウチらについてきて。
神崎舞
う、うん…
誘われてついていくと崖に出てきた。
神崎舞
………。
何で崖…?そして何で僕が探されてた?
すると、いきなり脇腹を銃弾が掠めた。
神崎舞
っ…!?…ど、どうして……
私は血が流れる脇腹を押さえながら、掠れた声で聞く。
村人
え〜、何でって言われてもね〜
村人
お前が一番分かっているだろ。
神崎舞
な、何を…?
村人
そうだよ〜、GMが死んだらDEATH GAMEが終わるし〜
村人
DEATH GAMEに巻き込まれたのは全部舞のせいなんだろ?
村人
舞のせいで村の多くの人が命を落としたんだ。せめて、お前が死んで償え。
神崎舞
僕はDEATH GAMEなんか始めてない!!
村人
けどな、村の中で一番怪しいのはお前なんだ。
神崎舞
そんな…
村人
まぁ、そういう感じでさぁ。舞ちゃんにはまだ若いけどみんなの為にも死んで。
そう言い放たれると、僕の体はフワリと浮き上がり、僕は空中に投げ出された。
神崎舞
え…
みんなが僕の視界から遠ざかっていく。
背中に受け続ける風の勢い。
………僕、崖から落とされたのか…
この高さじゃ死ぬかな?
それともまだ生きていられるかな?
神崎舞
僕の人生終わりか…
………まだ、アイツらと遊びたかったな…
そう思った瞬間、崖下の森に入り右腕に切り裂くような鋭く強い痛みを感じた。
そして、僕は右腕の痛みのスグ次に、更なる強い痛みを感じることとなった。

























……だ、れ…?誰か僕の呼んでる…?
倉持柊翔
…い!舞!!
神崎舞
!……
柊翔に呼びかけられていることに気付き、僕は薄らと瞼を開き辺りを見回す。
すると、目の前には柊翔が、周りには奏叶達と子供達が心配そうな表情で僕を見ている。
倉持柊翔
良かった…舞、ずっと魘されてたんだよ?
神崎舞
そう…?
倉持柊翔
ああ、凄い汗もかいていたし…何か悪い夢でも見た?
いつの間にか汗びっしょりだ…
神崎舞
えっと……
突如、右腕の傷に鋭い痛み。
僕は表情を歪め右腕をぎゅっと握った。
倉持柊翔
お、おい、大丈夫か?
神崎舞
うん……あ、みんな大丈夫だよ?ごめんね、遊んでいるのを止めちゃって。
少年
ううん、大丈夫だよ!!
少女
舞お姉ちゃんお大事に〜!
神崎舞
ありがと。
子供達は奏叶の連れを一部引っ張って行き、立ち去る。
倉持柊翔
……で、見た夢は?
神崎舞
僕が崖から落とされた時の夢…
倉持柊翔
…そっか、辛かったよね。
そういうと、柊翔は少し震えながら右腕を掴んでいる左手を優しく握ってくれた。
倉持柊翔
もう、そんなことは絶対にないようにするからさ…
神崎舞
あ、りがと…
倉持柊翔
おう!
柊翔は僕に向かって笑った。
すると、1階から…
バタンッッッ!!!
少女
え、な、何!?
少年
今回は出てないよ!!!
藍澤真咲
な、なんだ!
突然の音に子供達と奏叶達が騒ぎ出す。
あ〜あ…いつか見つかるとは思ったけど…
こんなところで大人にみんなが殺されてたまるか、理不尽に殺されてたまるか…!
僕は少し痛む右腕を上げ、中指と人差し指、親指を立てる。
奏叶達は不思議そうに僕を見てるねぇ…
……けどね?
今村奏叶
いきなりどうした…?
佐野悠哉
さぁ?
長月未菜
あの指に意味があるのかな?
少年
!……
少女
……。
女子
舞、静かになったよ。
神崎舞
今からすること、分かるよね?
僕が親指、人差し指、中指を立てるのは静かになることを指示するハンドサイン。ここに遊びに来る子達はみんな知ってるんだよね〜
少年
うん!僕達と離れ離れにさせようとするお母さんとか大人を捕まえるんでしょ?
少女
そうそう、みんなで協力するんだよね!
神崎舞
はい、よく覚えてたね。
さて、高校生の皆様。ここに遊びに来るってことは手伝ってもらうよ?
今村奏叶
そんなことまで教えたのかよ…まぁ、やるかお前ら!
みんな
うん!
奏叶達は作戦を知ってる子達に作戦の内容を教えて貰っている。すると、柊翔が僕の方に寄ってくる。
神崎舞
柊翔、何だ?
倉持柊翔
流石、舞。ミッションの内容をいい感じに誤魔化して子供達に協力させるのか。
神崎舞
まぁね…これから、僕は勇気を持つって決めたんだ。
倉持柊翔
!………斗真の言葉か。
神崎舞
そういうこと。
まぁ、アイツにもかなり遊んで貰ったからね。
少し笑って見せると、柊翔がフードを被ってるにも関わらず、頭を直接撫でてきた。
神崎舞
柊翔、子供扱いすんな。
倉持柊翔
してないぞ?
神崎舞
じゃあ、僕の頭に乗せてるこの手はなんだ。
12歳の時は身長も手の大きさも同じくらいだったのに…6年でこんなに変わるのか……
昔同じくらいの身長だった柊翔は余裕で僕の身長を抜かし、同じ大きさだった手も大きく感じられる。
倉持柊翔
ん〜、何か可愛いなって?
神崎舞
へぇ………
………ん?え、ちょっと待て。考え直せ。
…可愛いって今言ったか?
神崎舞
……おい、柊翔。
倉持柊翔
ん?
神崎舞
今さっきなんて言った?
倉持柊翔
子供扱いしてないって。
神崎舞
いや、そのあと。
倉持柊翔
何か可愛いなって。
神崎舞
う、うるさい。僕は可愛くなんかないし。
倉持柊翔
クーデレか?w
神崎舞
はぁ?
柊翔の言葉に思わずムッとする。
倉持柊翔
ごめんごめん、冗談だってw
と、いい頭を軽くポンポンとされる。
それが子供扱いって言うんだよ、馬鹿…
神崎舞
まぁ、いい。それじゃ、みんな作戦の内容を振り返るから集まって〜
少年
はーい!!
少女
みんな、早く集まろ〜!
美竹友紀
舞ちゃんはなんかまとめ役上手いね。
武藤咲羅
小さな子にもちゃんと協力させるように動かせるとか凄い!
長月未菜
まぁ、早く行こ!
作戦にはしゃぐ女子組、に対して…
源武光
なぁ、奏叶。
今村奏叶
ん?
源武光
あの子は彼氏とかいるのか?
佐野悠哉
たしかいないって言ってた。
源武光
おぉ!
藍澤真咲
武光、はしゃぎすぎだぞw
今村奏叶
ほんと…
源武光
な、何でもいいだろ!
何か他の話で盛り上がってるのかな?
まぁ、それはともかく…今回のDEATH GAME
大人には悪いけど、未成年に勝たせるよ。
そして、終止符を打つ…
…ゲームの始まりは第一段階。
僕はこれから勇気を持つ、どんなに辛い人生だと分かってもそれに立ち向かう勇気。
それは斗真が教えてくれたんだ…
『簡単に殺られるなら勇気を持って立ち向かう方がかっこいいだろ?』
だったかな…
理不尽なゲームを終わらせる為に今は ──
神崎舞
─── 作戦を振り返るよ。

プリ小説オーディオドラマ