第90話
特別な
「テーーーーーオーーーーー君!!!!
誕生日おめでとーーーーーーー!!!!」
耳がちぎれそうなほど大きな声で飛びかかってきた俺の恋人を受け止めきれずにソファーに倒れ込む。
「ちょ耳いてぇwwwありがとう!」
「ね、俺1番?1番?!」
キラキラした目で俺を見つめてくる彼の頭を撫でながら一番だよと言うと嬉しそうに、でも照れを隠すように俺の胸に顔を擦り付けてきた。
「今年も1番かぁ~よかったぁ」
「今年も受け止められなかった…」
毎年0時ぴったりにお祝いの言葉と共に抱きついてくる恋人を受け止めようと毎年頑張ってはみるのだが彼の突進には叶わず毎年同じようにソファーに倒れてしまう。
それを少しだけ悔しく思っているのだ。
「テオくんもまだまだだね!」
顔を上げてにへっと笑った恋人の頬を撫でながら来年こそは…と今年も決心するのだった。