第26話

境界線8
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2018/11/03 12:01
「っあ…」


じんたんが焦ってばっと逃げ出した。





は?







意味わかんねぇ





カッと頭に血が上って







「待てよ!」




俺はじんたんを追いかけた。









「待てって言ってんだろ!」



じんたんは俺を無視して走り続ける。




角を曲がるとじんたんは居なくて、教室が空いていたから、ここに逃げ込んだのは確実だ。







教室に入って逃げられないように鍵を閉めた。






教室の端に座り込んでいるじんたんの前に行ってバンッと壁を叩いた。









じんたんはカタカタと震えている。





「おい」


ビクッとしてじんたんは足を抱えた。


「こっち向け」

「ご、ごめんなさ…」

「謝れって言ってんじゃねぇよ、こっち向けって言ってんだよ」

そう言ってじんたんの顎をグイッと持ち上げた。


じんたんと目が合った。






目が潤んでいて、目が合った瞬間ボロボロと涙が零れ落ちた。







「うぇえぇんっ」


いや、泣きたいのは俺の方だよ…。





じんたんの涙にかなう訳もなく、怒りなんかどっか飛んで行っちゃって、必死でじんたんを慰める。



「じんたん泣かないでよ、ねぇ」


「ごめんなさ、っい、ごめんなさい、」

「怒ってないから、ね?」


頭を撫でたらじんたんが


「怒ってたぁっ、」



って言うから、なんか可笑しくて、



「今は怒ってないから、落ち着いて、ね?」



じんたんの頭を撫で続けたら落ち着いたようで、涙が出なくなった頃に

「なんで水かけたの?」

怒ってるように聞こえないように聞いたら



「…俺のくっきー、貰ってくれなかったのに、あの子のチョコ貰ってた」


「あの子って、かす?」


「付き合ってるの?」


「付き合ってないよ、あいつは友達だよ?」


「俺友達じゃないの?」


「え?」






「あの子のチョコは貰うのに俺のはもらってくれないって、俺は友達じゃないの?」

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