第82話

檻15
2,044
2019/06/29 15:26
「テオくん…」




目の前には控えめに笑ったテオくんが。



「とりあえず座ろ」


そう言って俺を立ち上がらせてくれた。


近くの公園のベンチに座らされて、ココアを渡された。

「体調大丈夫?」
「うん」
「……」
「……」


いつもより沈黙が気まずい。


「あの、さ」


沈黙を破ったのはテオくん。



「この前はひどいこと言ってごめん」

「……」

「俺じんたんのこと嫌いなわけじゃないんだ




むしろ、好きだよ」




「気使わなくていいよ、気にしてない」


「気使ってる訳じゃなくて、」



「もうやめてよ!


そういうの、こっちからしたらしんどいだけなんだよ!」


大好きだったテオくんの声が今は聞きたくないんだよ

辛いだけなんだ





涙が浮かんできて、でもテオくんには見せたくなくて立ち上がった。


「じんたん、」

「俺の事は気にしないで、みやの家にお世話になってるから」


そう言い残して俺は歩き出した。









でも、公園を出る前に腕を引っ張られた。






そして、キスをされた。





「なんっ………!



ったぁ…」


引っ張られた勢いでキスをされたから、歯がぶつかった。



「ご、ごめん!


でも、俺本当にじんたんのこと好きだよ


今更こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないけど、ほんとに好きだよ」


プリ小説オーディオドラマ