「テオくん…」
目の前には控えめに笑ったテオくんが。
「とりあえず座ろ」
そう言って俺を立ち上がらせてくれた。
近くの公園のベンチに座らされて、ココアを渡された。
「体調大丈夫?」
「うん」
「……」
「……」
いつもより沈黙が気まずい。
「あの、さ」
沈黙を破ったのはテオくん。
「この前はひどいこと言ってごめん」
「……」
「俺じんたんのこと嫌いなわけじゃないんだ
むしろ、好きだよ」
「気使わなくていいよ、気にしてない」
「気使ってる訳じゃなくて、」
「もうやめてよ!
そういうの、こっちからしたらしんどいだけなんだよ!」
大好きだったテオくんの声が今は聞きたくないんだよ
辛いだけなんだ
涙が浮かんできて、でもテオくんには見せたくなくて立ち上がった。
「じんたん、」
「俺の事は気にしないで、みやの家にお世話になってるから」
そう言い残して俺は歩き出した。
でも、公園を出る前に腕を引っ張られた。
そして、キスをされた。
「なんっ………!
ったぁ…」
引っ張られた勢いでキスをされたから、歯がぶつかった。
「ご、ごめん!
でも、俺本当にじんたんのこと好きだよ
今更こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないけど、ほんとに好きだよ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。