「あんね…」
じんたんが小さい声で言った
「ん?」
「友達が家に来るの、嬉しい」
ニコッと笑うじんたんが可愛かった
友達、ね。
友達って言われる度に
じんたんとの間には絶対に超えられない境界線があるんだって思い知らされる
分かってるよ、そんくらい
結局俺は一睡もできなかった
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それから
慌ただしく季節は過ぎ去って
バレンタインの季節になった。
男子はソワソワ
女子もソワソワ
俺は、あの子じんたんにチョコあげんのかなっていうソワソワ
「おはよ~」
俺が教室に入ると女子が
「寺島これあげるー」
とチョコをくれた。
「お前wwwチロルチョコてwww」
「お返しはゴディバねwww」
いやー、いい友達に恵まれたよ(棒)
「あ、藤枝君おはよ」
ぱっと入り口を見るとじんたんが大きな袋持って立ってる。
「よー、じんたんなにそれ」
袋をのぞき込んだら袋分けされたクッキーが入っていた
「いとこと一緒に作ったからみんなにと思って…」
「ふーん、これだけなんかでかくね?」
一つだけ少しだけ違う綺麗にラッピングされた
箱があった。
「あっ、それは……」
そう言ってちらっとあなたさんを見るじんたん。
ああ、そういうこと?
あの子に逆チョコ?
ほかのはカモフラージュって訳だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!