ふぅ……暇だなぁ。
"トントン"
梨花は小学校のころから仲のいい友達。
それから、話すことに夢中になり、気づけば20分程経っていた。
みんなお見舞いに来てくれるなんて……
幸せ者だな。
でも……
病気さえ、治ってくれれば……
と思う自分がいた。
"ガラガラ"
普段は中々仕事でお見舞いなんか来てくれないのに。
…………それだけ、病気が進行してるのかな。
ダメダメ。
こういう時こそ、プラス思考でいないと。
トイレ行こうかな。
そして、私は病室を出た。
本当に心配性だな。
トイレくらい一人で行けるのに。
ゆうかさんは昔から私に良くしてくれる看護師さん。
すごく優しくて、落ち着くの。
ゆうかさんがいるなら、ちょっと安心。
ん?
視界が……ぼんやりする。
物が重なって見える。
呼吸が少し苦しくなる。
"バタッ"
ゆうかさんの呼ぶ声が聞こえる。
あぁ。
また倒れたんだ。
私…………
もう長くないんだな。
樹吹……
私……
クリスマスまで生きられるかな。
デートしたいよ。
私……頑張るからね。
そうして、また私の意識は薄れていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。