第3話

部長の竹間
911
2018/11/05 10:52
竹間 信親
竹間 信親
窪田の言う通り、部員が足りなくてね
藍原 文香
藍原 文香
足りない?
でも、最低五人はいないと、部活が存続できないんじゃ……

入学式で、そのように説明があったはずだ。

少子化の影響を受けて部員が減り、ここ数年で廃止になった部もいくつかあるという。

竹間 信親
竹間 信親
内申点のために、籍だけ置いている幽霊部員が多いんだよ。
今でも十五人は在籍してる
藍原 文香
藍原 文香
そ、そうなんですか……
竹間 信親
竹間 信親
それにしても、君はどうしてここを見学してみようと思ったの?

そう問われ、文香は返答に迷った。


しかし、ここで理由を取り繕ってもしょうがない。


文香は、経緯を正直に話した。
藍原 文香
藍原 文香
というわけで、ちっとも立派な理由ではありません

窪田が少し笑ってはいたが、最初に扉を開けてくれた男子生徒は、頷きながら真摯に聞いてくれた。
竹間 信親
竹間 信親
なにか取り柄がほしいって理由だけで、充分だよ。
僕は歓迎する
藍原 文香
藍原 文香
! ありがとうございます……!
竹間 信親
竹間 信親
あ、まだ入部を決めたわけじゃないんだよね。
どういう活動をするのかだけでも、今日は見ていって
藍原 文香
藍原 文香
はい

落ち込んでいた気分が、少しだけ浮上する。

ずっとせせら笑いを受けてきた文香にとって、誰かに自分を肯定してもらうことは、救いだった。
竹間 信親
竹間 信親
あ、自己紹介が遅れたね。
僕は3年の竹間たけま信親のぶちか
文通部の部長をやってます
藍原 文香
藍原 文香
1年の藍原文香です。
よろしくお願いします

互いに頭を下げると、なんだかほのぼのとした温かな空気が流れる。


それがくすぐったくて、文香も信親も笑った。

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