〈じゃあ、1番最初に落ちた人が罰ゲームねー〉
夏の暑い夜。
男女4人で小さな花火大会。
運だけはいいほうなので、ノリでいいよと言った。
「『うわ!』」
なんと、同時に私と紫耀が落ちた。
〈やっぱりそこ仲いいね〉
〔デキてんじゃねーかよ。笑〕
私達をあえてくっつけるような言い方をする他2人のうち1人、私の大親友は、
幼い頃から紫耀のことが好きだった。
そして、もう1人、廉は紫耀の大親友。
私の大親友のことが好きで、顔がニヤニヤしてるので、ラッキーだと思ってるのがわかる。
大親友にごめんねとアイコンタクトをした。
『なになに罰ゲーム』
〔じゃあ、4人ぶんのジュース奢り〜〕
「え!4人も⁉」
〈頼みます!〉
『まぁあなた、罰ゲームだからやるしかないよ。笑』
「そうだね。じゃあ行ってきまーす」
私達は近くのスーパーに歩いた。
『危ないよ』
さっと道路側を歩いてくれる紫耀は、さすが親友が選んだ男だなと、軽く思った。
「紫耀、好きな人いないの?」
『いるよ?笑』
「いるんだ!じゃあ、その人は、幼なじみ4人の中にいますか!」
『いまーす』
「はいもうわかったー」
『それはどうかな?あなた鈍感だしなー』
「いくらバカでもそれくらいわかりますー」
親友と紫耀が両想いということを知って、うきうきの半分、少し悲しい気がした。
『あなた?あなたー?』
「あ、ごめん」
『ジュースこっち。やっぱりあなた馬鹿じゃん』
考えすぎてボートしてたら紫耀に手を引かれた。
「えっと、離してよ。笑」
『やだ』
「やだってどうゆうこと。笑」
『今せっかく2人なの。俺にとってはちょー嬉しいことなの!』
さっきまでとはまるで違う、急にお子ちゃまみたいにダダをこねる紫耀。
「私なんかと?」
その瞬間、今度は顎を引かれてキスを落とされた。
『俺はお前なんか、じゃなくてお前が、いいの』
こんなの、どこが罰ゲームなんだろう。
夏って、本当に魔法がかかるんだね。
-fin-
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!