「ただいま」
1人部屋に響く声。
君がいた時はこの声が響く前に飛び跳ねて俺の方に来てた。
けどもう君はいない。
君の料理は世界一美味しかった。
けど今じゃ、インスタントがほとんど。
君の料理をわくわくしながら待っているときが1番幸せだった。
君の得意料理はチンジャオロースだった。
珍しいけど、お母さんに教わったんだとか。
その味を忘れられない。
時々恋しくなるんだ。
君の全て。
戻らないとわかっていても、つい蘇ってしまう。
幸せだったな。
あぁ、もう忘れるかも。
思い出せなかったらごめん。
忘れたかったわけじゃないんだ。
ごめん。
じゃあね。
-fin-
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!