「起きないかな。」
彼がうたた寝している間にどライアーをかけようと、恐る恐るスイッチを入れたら、
『んん…』
やっぱり起きてしまい、すぐさまスイッチを切る。
「ごめん起こしちゃった」
『もうせっかくいいとこだったのにー』
まだ半分寝ぼけている彼の事を可愛いなぁなんて思っていると、
『起こしたから、責任とってくれるよねー。よし夢の続きをしよう』
「え」
まだ髪も乾かしていない私のことを持ち上げると、寝室へ向かった。
「ねえどんな夢見てたの。笑」
『こういう夢に決まってんだろ!』
ムードというものはねぇのか!
って照れながら言う北斗はどこか可愛い犬だった。
−fin−
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!