『うわー餃子焦げちゃった』
「焦げちゃったの?大丈夫だよ!焦げても焦げてなくても、あなたが作ったから、なんでも美味しいよ!」
『もう、いつも玄樹はそう言ってくれるんだから。甘やかさなくていいの!』
「でも美味しいんだも〜ん」
この幸せな日常が、ずっと続けば良かったけど。
『ただいまー』
今日は君から違う匂いがした。
「お、おかえりあなた!」
『先お風呂入ってきてもいい?』
君から甘い匂いがした時は、先にお風呂に入るんだ。
少し長く。
だから僕は、意地悪をする。
「えい!」
『ちょっと!なにしてんの!』
「だって遅いんだもん。てか、なにしてんの?」
『……いや、その』
彼女は、鏡を見ながら首元を擦っていた。
「僕に隠してることあったら言って?」
『………』
「もうバレバレだよ?」
もう、逃げれないねあなた。
あなたが悪いんだよ?
僕に隠し事なんかするから。
もう僕だけで充分でしょ。
-fin-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。