第98話

夜の海🦓
378
2020/05/31 15:00
冬の真夜中、

2人で歩いた海辺。

『なんか夜の海って怖いよね』

俺と距離を縮めながら言う彼女はとても可愛かった。

「そう?俺はロマンチックだと思うけどな」

『ジェス君は毎日ロマンチストじゃん』

そう言っておきながら彼女は頑張って僕より1メートルくらい前に出て歩こうとする。

年上だからって無理するところも、止めなくちゃいけないけど可愛くてできない。

「あなたがいるからだよ」

彼女が照れるときは顎を隠す。

冬にしか見れないけど、夏は顔を真っ赤にした彼女が見れる。

彼女は夏のせいだって言ってるから、より夏が愛おしくなる。

冬の仕草も結構好きなんだけどね。

『高校のとき、JAWS見てから夜の海怖いの』

「あぁ、最初のところ?」

『そう』

「あれ、あの男がいけないよなぁ」

『だね笑。でもジェス君はあんな男とは違うもんね?』

また彼女は年上張りをした。

頼ってくれるのはすごく嬉しい。

それに、素直じゃない言い方も、むしろ僕の心に刺さる。

けど、今なら自信を持って言える。

「もちろん。夜の海だけじゃなくて、ずっとあなたを守らせてよ」

永遠を誓ったのは、怖くて寒く、彼女の顔の赤さが目立った日だった。

-fin-

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