第76話

君のこと🦇🦅
467
2020/05/01 05:26
『おまたせ!』

ついに京本とご飯に行く時が来てしまった。

「おう。どこ行く?」

『ジェシーが言ってた焼肉屋行かない?』

「そうだな」

緊張して話せない。

京本は楽しそうな顔をしている。

なんでそんなに余裕なのか。

『何頼む?』

「京本好きなのでいいよ」

『………』

「京本?」

『大我って…呼んで?』

「え?」

『二人で居るときくらい、大我って呼んでほしいな…』

「なんでだよ」

『いや、無理だったらいいんだけど』

「……無理」

『だよね…ごめんね急に』

今日の京本、何かおかしい。

京本のせいで俺も調子が狂う。

「俺払うね」

『いいよいいよ。俺誘ったんだし』

「いや、誘ってくれたんだしそんくらい払わせてくれ」

『ありがとう北斗』

「おう。…たい…が…」

『え…今なんて』

京本は、顔を赤らめ、目をまんまるにしてこちらを見て驚いた。

「なんでもない。たいが行くぞ」

『え!やっぱり!今大我って言ったよね?』

「言ってねーわ」

端から見ると仲のいい男友達に見えると思う。

けど、俺は内心そんなことは全然ない。

馬が合わないことを通り越して、何故か今は嬉しくてドキドキしてる気がする。

「じゃ、気をつけて帰れよ」

『うん!北斗もね。今日はありがとう。
 もう一回大我って呼んで?』

「呼ばねーわ。じゃぁな大我」

『やったー‼』

これが京本が、ファンに可愛いと言われる理由だ。

でもこれは2人きりだけの時。

2人になるのもとても緊張したくらいだから、他のメンバーな居るときはこんなことできない。

もちろん大我呼びも。

「はよ」

[HA!北斗おはよー]

「朝からうるせーよ。笑」

『北斗、おはよ!』

〔待って待って、きょもほくデキてんの⁉俺泣くかも‼〕

「できてねーよ」

『北斗、大我って呼んでくれたよね!』

「呼んでないし…」

〔え⁉北斗呼んだの!?〕

「呼んでないっつってんだろ!」

ごめんな京本。

俺は自分の気持ちを優先することはできないようだ。

これからも"不仲"だけど、

また2人になった時はよろしくな。

俺には自分がわかんないんだ。

-fin-

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