今日は年末の忘年会。
腕時計を見るともう0時🕛
はぁ。
とため息をつきながら彼が待っている家へ向かった。
5分ほど歩いたとき
[なあな嬢ちゃん]
「な、なんですか…」
[かわいいじゃん。ちょっとホテル行こうよ]
普通ならここで断るはず。
でも今の私は違った。
私の彼氏はそんなこと全然気にしないし、心配されたことなど一度もない。
だからもう、いっそのこと
「…ぃ、いいですよ…」
[へえ。いい度胸じゃん]
そう腕を引っ張られ、ホテル街に連れ去られた。
その時、
『おい何してんの』
聞き覚えのある声だと振り返ったら、
服を乱した貴方がいた。
[あ?なんだお前]
『こいつの彼氏。いいから離してくんない?』
[でもこいつ、俺が話しかけたとき拒否ってなかったぞ]
『…は?…何でだよ』
「…」
『なんとか言えよ…とりあえず帰るぞ』
そう言い、酒臭いおじさんの手から私の手を奪い、自分のポケットに入れた。
しばらくの沈黙が流れた。
「…なんで助けに来たの」
『なんでって、お前の彼氏だからに決まってんじゃん』
「…私のこと嫌いじゃないの」
思わず出してしまった本音。
一度言ったら止まらなくなる。
『は?お前何言ってんの』
「だって最近どこにも行ってないし、ご飯もいらないって言うし、連絡もなんもくれないし」
気づいたら目からは滴がたれていた。
そうすると貴方は私をそっとだきしめた。
"…ごめん。俺お前に結婚したいってこと話したくて、タイミング見計らってた。あと、年末で仕事も追いついてなかったから食欲も無かった。ごめん。"
普通はそうなるはず。
けど貴方は普通なんかじゃない。
『たまたまお前を見つけただけだよ。』
そう言うのが貴方なの。
−fin−
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。