第119話

メリーゴーランド🐻
317
2020/09/14 15:00
朝起きたら隣には君の顔。

布団の上から出た、白くて細い君の腕は、

太陽と同化して、光のままに一緒に消えてしまいそう。

昨夜は知らない人のふりをしてふらつく君を追いかけた。

まるで優しい人みたいに全力で偽った。

君は素直で優しいから、こんな僕でも拾ってくれた。

だからといって僕の偽りがとけるわけじゃない。

君に近づけば近づくほど嘘は硬くなるばかり。

君は体力に自身があるからと言って、かかってこいなんて余裕かましてたけど、

あの頃の僕とはぜんぜんちがう。

やっぱり君はヘトヘトで。

君がいない間だって、そのつらそうな顔を思い浮かべて、

1人ベッドの上で君の前を呼んだ。

そばにいるわけでもないのに、勝手に名前なんか使ってごめんね。

暗い朝が来たときにはもう頭の中は、壊れかけたメリーゴーランドみたいに

ゆっくり回っていく。




よく見てみたら、隣に君はいないじゃないか。

太陽が昇るとともに光に消えていったんだ。

次君に会えるのはいつだろう。

今日も1人で君の名前を呼ぶ。

呼んだってくるわけじゃないのに。

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