『久しぶり。ねえ寂しかったんだよ?』
苦しいくらいに抱きついてくるのはもう一人の彼。
「ごめんね色々忙しくて」
いわゆる"不倫"だ。
『ベッド行くよ』
手を引かれて寝室へ向かう。
『俺と合う時は取ってって言ってるでしょ』
私の薬指をいやらしく撫でてきた。
「ごめん忘れてた」
事を終えたあと、
「お風呂借りるね」
私がお風呂からあがったら、
「あれ、私の指輪知らない?」
『あ、あれ外に投げちゃった』
「は?!何してんの。あれ高いんだよ」
『…ねぇ。あいつの事忘れて俺だけにしてよ』
そうやって後ろからそっと抱きついてくるから断れないでしょ。
−fin−
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。