第6話

天空の機械城フェール・フラウ・マキナ
43
2018/04/29 05:34
-気絶からは、もう覚めてある。
キリの独り言が聞こえて、ネヴェルは目を開けた。
果てしなき蒼の空間。通り抜ける風。
ヒトなら気持ちいいのだろうかと思いながらネヴェルは上昇気流に乗って動くキリに抱えられていた。
気がつけばエルカヌスが酷く小さく見える高さまで来ていた。
機械のネヴェルには酸素の薄さなど関係ない。キリにも、酸素の薄さなど関係ない。
そんなヒトからしたらデタラメな2人の、もっとデタラメな方-キリが前を指した。
その方を見ると、空中に漂う巨大な機械の城があった。
キリはそこへ前進する。
キリが扉を開けると、城内に風が入りすぎたのか中にあった灯が何個か消えてしまっていたが-キリはお構い無しに2人がここに来る目的となった人物の名を呼んだ。
キリ
キリ
着いたよ。
おーいエクス・マキナ、居るでしょ?
エクス・マキナ
エクス・マキナ
-キリか。
【反応】当機と類似する魔力を感知。-その子は?
キリ
キリ
ネヴェルだよ。君と同じ機械の子だよ
ネヴェルはエクス・マキナに軽く一礼した。
キリはネヴェルが気絶から復帰していることに特に何も言わなかった。
機械とはいつの間にか再起動しているものだとキリは思っているらしい。
エクス・マキナはそれを見るや否やネヴェルに急接近し、ネヴェルの目を見た。
エクス・マキナ
エクス・マキナ
…………理解、不能
そしてそう、ぽつりと呟くとエクス・マキナの指先からタッチパネルが現れた。
それを慣れた手つきで操作していくうちにエクス・マキナの顔はどんどん焦りが出てきていた。
エクス・マキナ
エクス・マキナ
ネヴェル、だっけ
ネヴェル
ネヴェル
う、うん
エクス・マキナ
エクス・マキナ
【機聖種】(ファージェス)の通常稼働限界を超越した兵装の火力を発揮。
更にそこから『過剰精霊摂取』(オーバーレント)の反応も示さず次の兵装の出力計算へ移行、異常稼働を発見。
異常稼働コード-E-38245630『反逆』。
【機聖種】-『殲滅体』(グリユステ)でも有り得ない火力の兵装を52種発見、すべて上位種の模倣兵装と推定。
-ネヴェル、本当に【機聖種】?
エクス・マキナは観測、解析結果を嘘偽りなく話した。
ネヴェルはそれを聞いてさぁっと血の気が引いていく感覚がした。
-何故。
当機には血の一滴もこの体に通っていないのに。
ああ、これがツェルが最後まで当機には教えてくれなかった唯一の感情-
ネヴェル
ネヴェル
恐怖………
エクス・マキナ
エクス・マキナ
当機は全機種を統べる神の機械、【機神種】(ツェレイト)。
外界の機械の【機聖種】(ファージェス)、【機凱種】(エクスマキナ)、【機壊種】(ファルファート)-その他の機械も、全て当機と知らぬ間に【連結】されている
全ての機械と【連結】し、全てをその目で見る機械の頂点-エクス・マキナは。
そっと異常稼働を続ける機体-ネヴェルに近付きそっと槍を構えた。
ネヴェル
ネヴェル
…………っ
エクス・マキナ
エクス・マキナ
当機と戦闘を開始することを提示
決闘を申し込まれた。
正直、勝算が見当たらない。
だけど-
ネヴェル
ネヴェル
受けるしか、ないのなら………その決闘、受けて立つ
双剣を持ちエクス・マキナを睨み付けた-…

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