-敵が近づいている。
逃走、提案。実行-
この時当機が当機の兵装に不備があったことに気がついていたら-
こんな空中落下の状況にはならなかっただろう。
それよりも何処だ。
空の色が明らかに違う。
何故、この空は青いのか。
何故、地上から精霊使用反応が出ないのか。
現在進行形で空から落ちてる機械の種族の少女ネヴェル・アウシュ・エウレは疑問が浮かんでは消え浮かんでは消えの状況だった。
兵装の使用に若干戸惑ったものの、当機が全壊すれば当機らの戦力が減ることになるとネヴェルは兵装を起動させた。
落下しながら、冷静にいきなり現れた国宝とやらと会話を進める。
-いつの間にか地面が近くなっている。
このままでは当機は-
ふわりとネヴェルの体をキリは受け止め、そのまま王城へと突き進む。
キリは1度は言ってみたい台詞第6位を言えたことに満足げに笑う。
そんなキリを出迎えたのは姫のエウレイア・ドーレンだ。今日も銀髪が美しい。
何が何だかわけわかんねぇとネヴェルは一言ぽつりと呟く。
聞いたこともない地名だ。
どのデータのどこを探してもそんな地名、見つからない。
全く気が付かなかった。
というよりも-
そっと、キリが小指を出す。
ネヴェルはその小指に自分の小指を絡ませた。
その時キリには若干ネヴェルが笑顔になっているように見えた。
-王城の地下室、キリの部屋で2人は会話していた。
エウレイアによると、メチャクチャな機構で正常稼働しているとネヴェルは結論されるらしい。
魔神の家系だからあと数万数億と生きてしまうのが目に見えているエウレイアは、溜息を吐きながら言う。
吹き抜けから見える月をエウレイアは指す。
【月霊種】-昔から月に月の女神と共住する種族。
キリも数回しかその姿を見たことがないため地上に住む種族からは最も謎に包まれた種族と称されている。
楽しくなりそうだ、とキリは心のどこかで思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。