第11話

譲れる…?(秀太side)
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2019/05/11 08:36
あなたと実彩子が乗った次の観覧車に、俺と真司郎は乗った。
真司郎
真司郎
あの二人、大丈夫かね(笑)
秀兄
秀兄
まあ大丈夫だろ(笑)
あなた、実彩子になついてるし(笑)
真司郎
真司郎
まあそやね(笑)
ゆっくり回っていく観覧車の中で、俺はこっそりあなた達が乗った観覧車を覗いた。
真司郎
真司郎
…あなたさ
秀兄
秀兄
…ん?
真司郎
真司郎
…宇野さんと同じ人好きになっちゃったんだって
秀兄
秀兄
…え?
あのあなたに、好きな人…?
真司郎は、誰なのか知ってるのか…?
秀兄
秀兄
…あいつもついに、恋したか
俺は、特に何の意味もないことを口に出した。
真司郎
真司郎
…まあ、成長やな(笑)
秀兄
秀兄
…だな(笑)
俺と真司郎の話す言葉一つ一つに、小さな溜め息が零れる。
やっぱり、もしかしなくても…
真司郎
真司郎
…秀太くんはさ、あなたのことどう思っとる?
真司郎
真司郎
俺の予想が正しかったら、秀太くんはあなたのこと好きなんかな…って思うんやけど
真司郎…
秀兄
秀兄
…大当たり
真司郎
真司郎
…やっぱりな
秀兄
秀兄
…真司郎は、あなたの好きな人が誰か知ってんのか?
真司郎
真司郎
…うん、知っとるよ
でも、秀太くんには言えやん
真司郎
真司郎
…聞かんといてな
秀兄
秀兄
…分かった
この時、俺は腹が立っていた。
俺に、あなたのことで知らないことは何もないと思ってた。
あなたは、俺じゃなくて、真司郎に打ち明けたんだ…
真司郎
真司郎
…俺も、あなたのことが好きや
真司郎
真司郎
…失恋って分かっとるけど…譲る気はないでな
秀兄
秀兄
…ああ…分かってる
今日…家に帰ったら、あなたに言おう。
俺は、ずっとあなたが好きだった、って。
お前がたとえ別の奴を好きでも、ずっと好きでいるから、って。
俺は、静かに拳を握った。

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