あなたと実彩子が乗った次の観覧車に、俺と真司郎は乗った。
ゆっくり回っていく観覧車の中で、俺はこっそりあなた達が乗った観覧車を覗いた。
あのあなたに、好きな人…?
真司郎は、誰なのか知ってるのか…?
俺は、特に何の意味もないことを口に出した。
俺と真司郎の話す言葉一つ一つに、小さな溜め息が零れる。
やっぱり、もしかしなくても…
真司郎…
この時、俺は腹が立っていた。
俺に、あなたのことで知らないことは何もないと思ってた。
あなたは、俺じゃなくて、真司郎に打ち明けたんだ…
今日…家に帰ったら、あなたに言おう。
俺は、ずっとあなたが好きだった、って。
お前がたとえ別の奴を好きでも、ずっと好きでいるから、って。
俺は、静かに拳を握った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。