やばい、昨日のことがあったからか、秀兄の顔が見れない…
だって、本当に「可愛い」って…聞き間違いでもなく言われたんだよ…!
真司郎は、ちらっと秀兄を見た後、こう言った。
うん。真司郎、その言い訳は苦しいわ。
そして、学校に着いた。
私が真司郎にそのことを話すと…
…私が振ったのに…
…なんでそんなに優しくしてくれるの?
「真ちゃん」…
私が小さい頃に呼んでいたあだ名だ。
私は、真司郎のことをそう呼んでいたことが原因で、真司郎のファンみたいな女子の群れにいじめられたことがあった。
それが原因で、私は「真ちゃん」と呼ばなくなっていた…
さっきのは、つい無意識に出ちゃった癖だけど、本当はずっとそう呼びたかった。
真司郎…ありがとう…
ありがとう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。