第2話

ep.1
2,840
2022/01/05 09:18
Mina
Mina
まさか今日の打ち上げまで着いてくる気?
you
着いて来るなと?




ミナは少しの間硬直し、頷いた。



you
出来ることならこっちだって行きたくない。
Mina
Mina
だったら留守番しててよ。
you
そんなことしたらまた倒れるでしょ。
Mina
Mina
だから、あの時は体調が悪かったの!!
you
ちょっと体調悪いくらいで倒れる?
Mina
Mina
……




口喧嘩は今日も絶好調。




私達はある一定距離以上離れると、その距離に応じた発作が起こる。




頭痛、倦怠感、熱、酷いものでは過呼吸とか、色々。




医師にも診てもらったが、特に心身に以上がある訳でもないらしい。




先天的なものだとか。



Mina
Mina
なんで私がこんな目に…
you
一人で被害者面ですか。
Mina
Mina
あなたと会わなければ…もっと、外で自由に暮らせてたかもしれないのに。
you
どうせ家にいることのほうが多いくせに。
Mina
Mina
あなたのために家に居てあげてるんだよ。




どっちが歳上でどっちが歳下なんだか。



you
…で、今日は何時に迎えに行けばいいんですかお嬢様。
Mina
Mina
お嬢様じゃない。
別に迎えに来なくてもいいし。
you
今日に限ってマネージャーのオンニに送迎頼まれたので迎えに行かないって選択肢はないです。
Mina
Mina
……その時連絡する。
you
買ってきて欲しいものは?
Mina
Mina
ない。あったとしても自分で買う。
you
そうですか。じゃあ、頑張ってね。




ミナは私を睨みつけ、車を降りる。




別に私は彼女と血が繋がっているわけでもなければ、ボディガードでもない。




ただの練習生だ。




数ヶ月後にデビューするはずだった。




後輩グループとして、新たな一歩を踏み出すはずだった。



PD
あなた、ミナとの関係についてだけど…




ある日、私とミナがPDに呼び出された。



PD
変なことを聞くかもしれないが、二人は一定距離以上離れてそのままの状態が続いても…命に別状はないのか?
you
試したことないから分からないですよ。
PD
とにかく、このことは世間に隠す。
ミナはライブ前だし、とにかく練習に集中して。この期間だけあなたはTWICEと一緒に行動してもらう。あなたは他メンバーよりデビューを遅らせてしまうことになるけど…




こうして私はデビューを一時保留にされ、極力ミナの近くにいることを強いられた。




そのため移動はほぼ、TWICE先輩達と一緒。




ダンスレッスンもボイトレも、何もかも先輩達と一緒だ。



"何であなただけデビューできないのマジで意味わからん"


"あなたがいないデビュー曲とか聴きたくないわ"


"あなた病気かな…"



スマホからSNSアプリを開けばこんなのばっか。




自分の名前がトレンド入りする日が来るなんて。




しかもこんな暗い話題で。



you
……はぁ、
Sana
Sana
あなた?




会社の控え室でそんな数週間前のことを考えていると、サナさんが声を掛けてくれた。




サナさんは、本当に、めちゃくちゃ優しい。




私とミナの関係がいつかフッと消えて、サナさんに適応されたらな、とか思っちゃったりする。



Sana
Sana
みーたんのこと考えてるやろ?
you
考えたくないのに、考えちゃうんです。
Sana
Sana
しょうがないよ。
サナがあなたやったら、きっと同じくみーたんのこと考えちゃうと思うし。
you
…ミナと仲良くできないんです。
なんて言うか、犬猿の仲みたいで。
Sana
Sana
ミナはミナであなたのことすごく心配しとったけどなぁ。
you
そんなの上辺ですよ。
Sana
Sana
今朝すごく深刻そうに相談してきたけど?
"あなたに強く当たっちゃう"って。




そういうことも一応考えてるんだ。




意外。



you
とりあえず…ライブが近いので今はミナの機嫌を損ねないように心がけます。
Sana
Sana
あ、そうだ。
今度二人で遊びに行こ!!
you
いいですけど、必然的にミナ連れてこなきゃ…
Sana
Sana
100km以内やから大丈夫!!




いや、サナさん?




範囲5kmなんですけど。









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