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第9話

#9
白樹 澪
はあぁ〜! 今日も大和先輩の淹れる紅茶は最高です!
成瀬 大和
そう言ってもらえて嬉しいよ。いつでも来ていいからね
白樹 澪
迷惑でないのなら毎日でも。大和先輩とは、話すのも楽しいですから
ティーカップに注がれた、透明感のある赤色をしたカモミールティーを啜り、ほうっと息をつく
昼休みは、あの空気のまま終わってしまい──何故かやけに女子たちが興奮していたのもあり、蓮とは話せずじまいで──、一緒に家に帰るのはちょっと気まずいなぁと思って、気分転換に大和先輩のいる生徒会長室に来たのだ
もちろん、清水さんに遅れることは連絡済み。清水さんは、私の生活サイクルをおおよそ把握してるので、私がいつ学校を出るか、なんてお見通し
大和先輩と話すようになってからは、下校時間が遅れることが多くなったため、清水さんはそれに合わせて絶妙なスケジュール調整をしてくれる。いやはや、感謝しかありません
ティーポットを机に置き、私の隣のソファに腰掛ける大和先輩
同じように、ティーカップの持ち手に指を絡ませ、優雅に口を付ける
……うーん、優雅さが別格。どこをどうしたら、中世ヨーロッパのご子息みたいな感じになるのか、ぜひ教えていただきたい
成瀬 大和
ところで、朝の件についてだけど
白樹 澪
朝? ……あっ
成瀬 大和
流石に忘れるわけがないよ。一体何があったんだい?
白樹 澪
いやー……そのですね
静謐さ溢れる瞳の中に感じる、密かに、でも確かにそこに在る芯の強さ
それに至近距離から射抜かれ、私は答えることも、話を逸らすこともできない
大和先輩が言わんとしていることは嫌でもわかる。朝に起きた、蓮が手の甲にキスしてきたあの騒動のことだ
ただ、本当のことを正直話すのには空前絶後レベルの恥ずかしさに耐える必要があるわけで
……だけど、このまま隠し通すと色々と誤解が生まれそう。言いづらいことなのだから、それ相応に悪い方の誤解が。それは何としても避けたい
間違っても、変な意味に捉えられないようにしないと
白樹 澪
と、とりあえず、さっきのは断じて変な意味じゃないので!
成瀬 大和
うん? 変な意味って?
白樹 澪
えっと、実は──
ちょうどその瞬間に居合わせなかった大和先輩にも分かるよう、丁寧かつ簡潔に、語弊のないよう気をつけながら事のあらましを話した
決して私から願ったわけではない、という部分を強調して
ドキドキと、緊張で激しく脈打つ心臓がバレないように、努めて淡々と話した。多分、声は上ずり、明らかな緊張で震えていただろうけど
成瀬 大和
へぇ……彼がそんなことを
話を聞き終わった大和先輩は、心底驚いたように目を見開き、どさりと背もたれに体重を預けた
一方の私は、話し終えたことで脱力感と虚無感に襲われ、呆然と白い天井を見上げたまま、静止
ぽかーんと口は半開きのまま、今にもヨダレが垂れそうなアホ面を晒していた
うう……恥ずかしい。でも変な思い違いが生じるよりかはマシだよね