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第22話

#22
瀬沢 蓮
──澪っ!
乱暴に開け放たれた扉から、求めていた人の声が、私を名をなぞらえた
刹那、私は安心したように気が緩み、対して大和先輩は驚いたように声のした方に目を向ける
瀬沢 蓮
お前……っ!
後悔の滲むような雄叫びが耳朶に響き、次いで私の上にいた大和先輩は、瞬く間に目の前から姿を消した
消えた、と思ったのもつかの間、けたたましい音と共に大和先輩は床に打ちつけられ、苦悶に歪んだ呻き声を漏らした
白樹 澪
れ、蓮……やりすぎなんじゃ
瀬沢 蓮
これくらい普通だ。安心しろ、怪我はさせないから
安心させるように言いながら、私を優しい手つきで包み込み、ゆっくりと起こしてくれる
何とか起き上がることが出来た私は、目の前で動けずにいる大和先輩を視界に映した
歯を食いしばり、背中に走っているであろう痛みに喘いでいる彼を、私は恐怖を交えた目で見ることしか出来ない
瀬沢 蓮
澪は何ともないか
白樹 澪
……うん、平気だよ
瀬沢 蓮
馬鹿が。そんなに震えておいて、平気なわけねぇだろ
気丈に振る舞わないと……そう思って、無理矢理笑顔を作って強がってみても、蓮には通用しなかったようで、肩にぱさりと彼のブレザーが掛けられた
蓮の気遣いに嬉しくなって、私は安心を噛み締めるように、ブレザーをぎゅっと握りしめた
成瀬 大和
っぅぅ……
瀬沢 蓮
おいお前。あんなことしておいて、タダで済まされると思うなよ?
成瀬 大和
なに、がっ……僕は、この学校の王子で……
瀬沢 蓮
んなの知らねぇの。飽くまでもお前が王子だって言うなら、俺は騎士だ。騎士は姫を守り、悪役を排除する。
お前はどっちだ? 正義を貫く王子か、それとも悪役か
うつ伏せのままの大和先輩を一瞥し、蓮はわざわざ傍に座り込んで、追い打ちをかけるかのごとく攻め続ける
でも、その瞳に冷酷さはなく……同情の念すら感じられた
好敵手を見るような目。かつては仲間と同義であり、同時に敵だった人へ向けた、憐憫の意
成瀬 大和
なにを……っ。まず君が、僕から澪ちゃんを取ったから
瀬沢 蓮
ほざけ。俺はずっと、あいつのことを想ってやって来てんだ。俺からしたら、お前の方が新参者だ
成瀬 大和
っ?!
瀬沢 蓮
俺の10年間を無駄にしたいなら、それ相応に努力するんだな。裏切り者の王子様
去り際、耳を疑うような台詞を投げ捨てるように放ち、ゆったりと立ち上がった蓮は、次いで私に目を向けた
そして、さっきと同じように、私へと手を伸ばす
瀬沢 蓮
話がある。俺も暫くは隠しておこうと思ったが、そうもいかなさそうだ
そう言っているのに、心底残念そうには見えなかった
ようやく言える。そんな達成感を含んだ一言に、私はより一層、興味を惹かれる
どうしてだろう
今まで描いていたパズルのピースが集まって、少しずつ形を為していく
完成する瞬間が、すぐ先にある気がした