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第23話

#23
基本的に入ることが許されないはずの、学校の屋上
学校全体を見渡せる特等席のその場所に、私は蓮と一緒に立っていた
屋上へ続く扉の鍵がいつも開いているとは……学校も無防備だなぁ
なんて思いながら、私は少し遠くに見える、グラウンド上に散らばったまばらな人影を眺めながら、塀に体を預けた
横に蓮も来て、二人でなかなか見ることができないこの景色を、一緒に堪能する
どちらが話を切り出すのか……そんな些細な駆け引きを続けて、五分が経った頃
一際強い風が私の髪を靡かせたと同時に、蓮が話し始めた
瀬沢 蓮
覚えてるか。俺のこと
唐突な問いかけに、私は上手く答えられない
覚えているか……そう言われても、私と蓮が出会ったのは、ほんの昨日のこと
でもその言い回しは、昨日が初めて会った日ではないことを表していた
白樹 澪
ううん……いつのこと?
瀬沢 蓮
大体10年前か。お前が誘拐されかける前の話だ
そう言い、蓮はぽつり、ぽつりと語り始める
瀬沢 蓮
俺と澪が出会ったのは、俺たちがまだ幼稚園くらいの時。お前と俺の母さん同士が仲が良くて、俺は自然な流れで、澪と一緒に遊ぶようになった
白樹 澪
……そうだったの?
全く覚えがないけど、どこか納得できる部分もある。幼稚園くらいの時、私には確かに、友達呼べる人がいたから
もしかしたら、その人が蓮なのかもしれない……でも、あやふやな記憶の中にも、友達はもっと柔らかい雰囲気を持っていた気がする。今の蓮とは全くの正反対だ
瀬沢 蓮
お前が誘拐されかけた時に、俺も一緒にいたんだ。……車に押し込められたお前を、取得していた護身術で誘拐犯を倒して、大人を呼んで何とかなった。犯人は取り逃したが
白樹 澪
誘拐されたことは覚えてる……けど、蓮のことは覚えてない。どうしてなの?
瀬沢 蓮
事件のショックで、一時的に記憶を失ってたんだ。俺の存在だけが、お前の頭から抜け落ちて
白樹 澪
え……
その時のことを思い出したのか、伏せ目がちになりながら、蓮は静かに言った
衝撃のカミングアウトに、私は言葉を失う
蓮の存在だけが、私から消えていた? 信じられない
だって、自分の記憶が正しくないなんて言われたら……自分が怖くなってしまう
自分が信じられなくて、怖い……何を信じればいいのかわからなくなる、闇の中を手探りで進む時の恐怖と同じだ
瀬沢 蓮
……大丈夫だ。まだ幼かったから仕方ない。でも、俺はその時に決めたんだよ。『次にお前に会う時は、お前に怖い思いをさせないくらい、強くなる』ってな
白樹 澪
……それで、私のSPを願い出たの?
瀬沢 蓮
ああ。あの日以降、白樹家から出入り禁止喰らってな。澪と会ってしまえば、まだ幼いお前に何が起こるか分からないからと。事件のことを彷彿とさせる俺とは、極力接触を避けて欲しい……そう、お前の両親から言われた