無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第5話

#5
白樹 澪
えーっと──
今あった出来事を、ふつふつと湧き上がる怒りに任せて話そうと口を開いた瞬間、後ろから歩み寄ってくる足音が聞こえたかと思うと、私と大和先輩との間に腕が振り下ろされた
え……と声を上げる間もなく寸断され、次いで私の体は誰かに引き寄せられる
瀬沢 蓮
彼女との身体的な接触は控えていただきたく
成瀬 大和
君は……確か二年の瀬沢くん、だったかな。今日転校してきたって噂の
瀬沢 蓮
俺のことはどうでもいい。今後は白樹澪との接触は必要最低限に
成瀬 大和
今のは必要じゃないのかい?
瀬沢 蓮
こちらの問題はこちらで解決しますので、外野からの介入はご遠慮願います
気づけば私は、瀬沢蓮の腕の中にすっぽりと収まっていて
私の時とは打って変わって、事務的な口調になっている瀬沢蓮に少し驚きながらも、私は誰かと密着していることに緊張し、彼に軽く抱き締められながら動けずにいた
な、何がどうなってるの?!
何故か火花を散らし合う二人と、その間にサンドイッチ状態の私
っていうか、本当にこいつは何なの?! いきなりキスして来たと思えば、大和先輩に喧嘩腰って……!
白樹 澪
ちょ、ちょっと!
瀬沢 蓮
何?
白樹 澪
『何?』じゃない! 先輩に向かって失礼にも程があるでしょ?
瀬沢 蓮
それが俺の仕事だ
白樹 澪
仕事って……そりゃ、そうだけど
何故か敬語を外されていることに違和感を覚えるが、正論中の正論を言われ、何も言い返せない
あの〜、護衛対象って、敬語を使う対象にはならないんでしょうか?
何故か知らないけど、さっきから妙に馴れ馴れしいし……初対面ってこんなにグイグイ来るものなの?
それとも、SPってみんな、こういうものなの?
瀬沢 蓮
……さっきのことは謝る。何も知らなかったんだろ
白樹 澪
知らなかった、って……私はあんたのお姫様じゃないんだから
成瀬 大和
さっき……? 本当に何があったんだい?
疑問を抱いたように、ふと呟く大和先輩
そこで、今までの一連の流れを説明していなかったことを思い出す
……っでも、改めて考えると、ちょっと口に出すの恥ずかしいかも
だって、まさかこいつにその……キスされた、なんて、大和先輩相手に言えるはずがない! たとえ手の甲だったとしても!
白樹 澪
や、なんでもないです!
私っ、もう行かないといけないので! えーっと……失礼します!
ぶんぶんと顔の前で手を振り、恐るべき勢いで頭を下げると、私はその場から逃走した
容赦なく突き刺さる視線という名の槍を無視して、一目散に教室へと逃げ込む
いきなり息を切らして現れた私に驚いたのか、扉を開けた直後、ばっとこちらに目を向け、ヒソヒソと内緒話を始めるクラスメイトたち
そんな彼らを一瞥し、私は意気込むように顔を上げると、凛と背筋を伸ばし、静かに自分の席へと歩みを進めた