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第16話

#16
瀬沢 蓮
今日は確か、フレンチトーストと野菜のマリネ、コンポートとかがあったな
白樹 澪
どれも美味しいんだよね……私もいつか料理してみたいけど、父さんも母さんも許してくれなくて
瀬沢 蓮
お前のご両親は基本過保護だからな
白樹 澪
うんうん……って、なんで知ってるの
瀬沢 蓮
仕事を引き受ける前から知ってるよ
白樹 澪
へぇ。そういう情報は不要だと思うけどなぁ……
一体、SPの世界にはどれだけの情報が出回っているんだろう……一周まわって怖い
などと、感嘆なのか恐怖なのかわからない感想を漏らし、私は食事の席に着く
……予想通り、蓮は私の傍に立っているだけだった
白樹 澪
あのー
瀬沢 蓮
ん?
白樹 澪
立ってるだけじゃなくて、食べない?
瀬沢 蓮
いや、既に食事は済ませてきたが
白樹 澪
……そっか
躊躇いながらも誘いをかけたが、無情にも儚い願いを打ち砕かれ、私は項垂れる
もう食べちゃったのか……無理言って食べさせるわけにもいかないし、大人しく引き下がろう
そう思い直し、今は朝ごはんを楽しもうと、私はテーブルに並べられたおかずの数々に目をやる
美味しそうに艶めくフレンチトースト、瑞々しい果物が盛り付けられたコンポートと、色とりどりの野菜が入ったマリネ
手の込んだ数々のメニューの中でも、私は一番シンプルな“あるもの”に目を惹かれていた
それは──紅色に染まった、普通のものより比較的大きめの苺
私が大の苺好きなのを知って、シェフの人はいつも私の食事だけ、苺を出してくれる。このささやかな気遣いがとても嬉しい
今日も一段とお美しい苺で……と頭の中でボケをかましていると、蓮から視線を感じる
瀬沢 蓮
……そういえば、苺が好きだったな
白樹 澪
よく知ってるね。護衛対象の好き嫌いも把握済み?
瀬沢 蓮
ある程度は。ただ、苺が異常なくらい好きだったのはよく覚えてる
白樹 澪
異常なくらいって何よ。大食いみたいじゃん。普通よ普通
瀬沢 蓮
はっ、どうだか
鼻で笑ってあしらう蓮に、私は頬をふくらませて異議を申し立てる
余裕ぶっている蓮が気に食わなくて、私はちょっとした仕返しとばかりに腕のあたりを軽く殴った
反撃こそしなかったけど、蓮は静かに怒りを湛えた目線を私に向けてきて、危機を感じた私はそろーっと前を向く
あ、圧力がすごい……そうだ!
私は積み重ねられた苺を一粒摘んで、蓮の口に思いっきり押し込んだ
瀬沢 蓮
っ?!
白樹 澪
はいっ、おすそ分け!
急に口に押し付けられた苺に驚きながら、ぱくぱくと咀嚼する蓮に満足し、私はにこりと微笑む
怒った時は苺を食べれば解決……なーんてね
白樹 澪
一緒に食べれないなら、苺くらい食べて
瀬沢 蓮
むぐ……っ、でもお前、苺大好きなんじゃ
白樹 澪
……私は1人で苺を食べるより、誰かと食べた方が楽しいから
そうだ。私は独り占めするより、分け合っていいから、誰かと一緒に食べたい
過保護な愛をつけているのはわかっているけど、私はストレートな絆が欲しいんだから
瀬沢 蓮
……なら、明日から俺も一緒に食べる
白樹 澪
本当?! ありがとうっ
自分の胸に手を当てながら、私のお願いを聞き入れてくれた蓮
嬉しい……嬉しいよ、蓮
私がずっと欲しかった時間を与えてくれることを約束してくれて、ありがとう