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第4話

#4
なんだろう、と思い、だらしなく歪んでいた顔を真顔に戻し、後ろを振り返る
ぱっと目に入ったのは、思わず魅入ってしまうような顔立ちをした少年だった
鼻の筋は高く、全体的に肌の色は白い。身長はそこそこ高く170cm前後。ヘーゼルナッツのような髪色と瞳が特徴的で、さながら妖精のような儚い見た目
そんな容姿とは裏腹に、持ち合わせる雰囲気は棘のある鋭いものだった
なんだろう……この違和感。今まで私が思い描いていたパズルに、ピースが上手く嵌らないような感覚が、胸の中を席巻する
容姿と雰囲気のギャップに驚き、加えてしこりのように頭の片隅にこびりついて離れない違和感の正体が分からず、ついつい言葉を失っていると、彼は私から目を離さないまま告げる
??
白樹澪……だな
見た目通り、男の子にしてはちょっとだけ高い声が私の名を呼んだ
でも、ただ呼ぶだけじゃなく、どことなく私だと確認するような意味を含んでいるように聞こえる
白樹 澪
えっ、あ、はい……そうですけど
名前を知ってることに不審感はない。……違う意味で有名だし
それはそうと、なんでこの人は私に話しかけてきたんだろう?
用事があるようには見えるんだけど、思い当たる節は一切ないし、友達皆無の私からすれば、一周まわって怖い
私に話しかけてくるなんて、相当変人なんじゃ? 大和先輩は私から話しかけに行ったから違うけど……わざわざ向こうから来るなんて初めてだよ?
白樹 澪
なにか用ですか?
間違っても気に触ることの無いよう、少々下出に出て問いかける
すると、彼は一瞬目を見開き、落胆したように眉を下げた
さっきから表情がひとつも変わらないから、感情に乏しい人なのかなと思っていたのに……全然そんなことなさそう
……ちょっと可愛い。不覚にもそう思ってしまった
初対面なのに、さっきからかなーり失礼なことしか考えてないな、私……
自分の心の声に呆れていると、彼は気を取り直したように一度咳払いをし、改めてと言わんばかりに再び私の目を見た
色素の薄い彼の瞳に私が映る。それを認識するよりも早く、彼は口を開いた
瀬沢 蓮
今日より、白樹澪のSPを務める瀬沢せざわれんだ。以後お見知りおきを
まるで御伽噺に登場する王子のように片膝を立て、呆然と立ち尽くしたままの私の手を静かに取り、手の甲に小さく口付けをする
突然のことに、私はその場でフリーズした
僅かに遅れて聞こえてくる、周囲の人からの黄色い悲鳴や騒ぎ立てるような叫び声も、馬耳東風状態の私にとっては、単なる雑音としか思えなかった
ちょ……っと、待って?
今の今まで忘れてたけど、今日から配属されるSPの人、いたんだった……
この人──瀬沢蓮は私のSPで、私を守る役目があるんだよね?
それなのに、どうして今、私の手の甲にキス……したの?!
白樹 澪
わ、わあぁぁぁぁぁっ!
慌てて握られた手を引っ込め、もう片方の手でキスされた場所にそっと触れた
まだ柔らかな唇の感触が残ってて、それが心臓の鼓動を早くさせる
な、ななななななななんで……なんでキスなんか!
思っても見ない瀬沢蓮の行動に、そういう行為どころか男性対するに耐性すら一切ない私は、羞恥で顔を真っ赤に染めた
白樹 澪
ちょっと! 何してるの!
瀬沢 蓮
何って……大体お前がこういうのに憧れて──
彼が少し不思議そうな顔をしながら言いかけた時
成瀬 大和
何してるんだい? 澪ちゃん
背後から聞き慣れた声が聞こえ、私は縋る思いでぱっと振り返った
そこにいたのは、にこやかに笑う大和先輩で
白樹 澪
や、大和先輩〜!
親しんだ人を見つけたせいか安心感が湧き、私は大和先輩の方へ駆け寄り、笑顔を咲かせた
対する大和先輩も私に笑い返してくれ、じんわりと心が温まる
良かった……私、このまま変なキス魔と一緒にいないといけないかと思った!
周りに人はいるけど、面識なんて全くないし!
成瀬 大和
よしよし。それで、どうしたんだい?
ここから凄く大きな悲鳴が聞こえてきたから、何事かと思って来てみたんだけど……
幼い子供をあやす様に大和先輩は私の頭をぽんぽんと撫でながら、優しい声音で問うた