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第11話

#11
瀬沢 蓮
探したぞ、澪
勢いよく開かれたらしい生徒会室の扉が、軌道上にある壁と衝突し、ガンっと鈍い音を立てた
責めるような鋭さを伴った声と、大きな音に驚き、私と大和先輩は反射的にそちらを見る
開け放たれたドアの傍に、暑いのか僅かに頬を赤く火照らせながら、あからさまな苛立ちオーラを放つ人がそこにいた
白樹 澪
れ、蓮……
少なくとも今の時点で一番会いたくなかった人の登場に、私の口元は自然と引きつっていく
なんでこのちょうどいいタイミングで……私のところに来るの!
なんだかんだ、大和先輩とどこかに行くのは初めてなのだ。まずをもって、プライベートで関わったことなんて皆無
だから、外野からの邪魔なく、二人で話したかったのに……
でも、『探した』ってことは、それなりに心配かけちゃったりしたの……かな?
白樹 澪
ちゃんと帰るから、大和先輩との話が終わるまで、外で待っててくれない?
怒り半分、申し訳なさ半分と、複雑な心境のまま蓮へお願いするが、彼はすぐに首を横に振った
これ以上、私をここにいさせる気は毛頭ない、と言いたげに
瀬沢 蓮
……誰かと二人きりになるなんて、お前には自覚がないのか
白樹 澪
自覚って……大和先輩は悪い人じゃないし
瀬沢 蓮
そういう意味じゃなくて
白樹 澪
へ? そう意味じゃないって……?
きょとんとしたまま首を傾げると、この剣呑とした空気に似合わない、つい吹き出してしまったような乾いた笑い声が耳に入った
成瀬 大和
ぷっ、くくく……なるほど。君は、自分がSPだからという理由で、澪ちゃんの傍にいる訳では無いのか
瀬沢 蓮
……お前
成瀬 大和
だが生憎、君より僕の方が、澪ちゃんと一緒にいた時間は長いよ? 今日SPになったばかりの君が、そういう想いを抱いているのかは不可解だけど……まあいいさ
私と蓮の間に流れていたはずの刺々しい空気は、大和先輩と蓮が散らし合う見えない火花にかき消されていて
蓮は心底腹が立っているのか、こめかみに青筋がたっているようにも見えた
対する大和先輩は、どこか涼しく、傲慢さすら感じられる笑顔をその口元に湛えている
笑っているはずなのに、全然違う……雰囲気がガラリと変わっていて、まるで別人みたいだった
な、なんで……なんでこの二人がいがみ合ってるの?!
私と蓮がバチバチしてたはずなのに……それに、大和先輩は何かに納得したような声色だったし
全く意味がわからない。そういう想いって……どういうこと?
白樹 澪
あ、あの、大和……先輩?
ちょっとだけ怖くなり、控えめにその名前を口にすると、大和先輩は冷たい笑顔を、今までのように和やかなものに一転させ、私に笑いかける
よ、よかった……いつもの大和先輩だ
ほっと安堵の息をつくよりも前に、蓮が我先にと早口にまくしたてた
瀬沢 蓮
お前は黙っていろ。
澪、もう一度言うがお前は俺の護衛対象だ。俺にはお前を他人から護る義務がある。
SPである以上、これだけは譲れない。何処の馬の骨なのか分からないような男に一日預けるなど言語道断だ
その獣のように獰猛な視線と、主張し続ける姿勢は変えない蓮に、大和先輩は冷ややかな目を向けながら言い放つ
成瀬 大和
SPだからという理由で、人間と関わる機会を奪ってしまうのかい? それはいくらなんでも過保護すぎるさ
瀬沢 蓮
それが俺の仕事だ。人との接触は減れば減るほど、危険性も薄くなる。
澪の周りは常に危険で溢れている。そんな中、のうのうと一人で出歩かせてしまえば、何が起こるか分からないだろ
成瀬 大和
それが起きてもいいように、君がいるんだろう? 怪我をさせないため、命をかけてでも守る。それがSPだと、僕は思っていたけど……まさか、護身術のひとつも分かっていない訳では無いだろうね
瀬沢 蓮
危険は事前に排除する。何かあってからでは手遅れな時もある……もう、傷つくのは見たくない