第7話

心配
1,669
2019/10/28 20:55
私とリヴァイ兵長は、カツンと同時にペンを置いた。
リサ
リサ
うぁぁ~!終わりましたね、リヴァイ兵長!
リヴァイ
リヴァイ
あぁ
リサ
リサ
これ、どうしましょう?きっともうエルヴィン団長寝てますよね…
リヴァイ
リヴァイ
だろうな…俺が朝出す
リサ
リサ
…じゃあ明日、早起きですね…って今日か
リサ
リサ
私、これからエルヴィン団長起こさないように出してきましょうか?
リヴァイ
リヴァイ
お前は持ってけねぇ
リサ
リサ
えっ?何でですか?
リヴァイ
リヴァイ
重いだろ
リサ
リサ
……私どんだけ脆弱に思われてるんですか?!
リサ
リサ
…いや、重いですけど持ってくことは出来ますよ!
リヴァイ
リヴァイ
ほぉ…
リサ
リサ
(あれっ、リヴァイ兵長の目が光った…?)
リヴァイ
リヴァイ
じゃあ頼む
リサ
リサ
えっ………いやあの、はい、わかりました
リヴァイ
リヴァイ
助かる
リサ
リサ
あっ…、はい、おやすみなさいです
リヴァイ兵長がベッドに入った。
リサ
リサ
(ホントに寝ちゃうんだ…)
リサ
リサ
(あっ…いやいや、手伝ってもらえるんじゃなんて思ってなかったけど!!)
リサ
リサ
(…それよりこれどうやって持って行こう…)
私は目の前の書類の山に目を戻した。
リサ
リサ
(ここからここまでなら一回で持って行けるかな…)
リサ
リサ
よいっ…しょっと……
リサ
リサ
っ!!
見下ろしていたせいか気付かなかったけれど、私が持った紙の山は案外高くて私の目線の高さを超えていて、
その重さに私の腕が耐えられるわけがなく、私はバランスを崩して書類の山が残っている方に向かってゆっくりと傾いていった。
リサ
リサ
(うぁぁぁあっ!倒れるっ、書類が混ざっちゃうっ…!)
リサ
リサ
(やっぱり…強がるんじゃなかった…)
リサ
リサ
(これじゃあ…私…役に立つどころか…リヴァイ兵長に迷惑かけちゃうよ…)
もう、倒れる_____!











あれ?
リサ
リサ
倒れて、ない…
私は倒れていなかった。
リヴァイ兵長が倒れる方向に立ってくれていたから___。
リヴァイ
リヴァイ
やっぱり無理なんじゃねぇか
リサ
リサ
へっ?リヴァイ兵長?お休みになったんじゃ…
リヴァイ
リヴァイ
あれは嘘だ
リサ
リサ
え?り、理解が追いつかな…
リヴァイ
リヴァイ
とにかくお前はもう寝ろ、これは朝俺が運ぶ。
リサ
リサ
はい……すみません
リサ
リサ
失礼します
ガチャ
ドアの閉まる音が寂しく響いた。
私は部屋に戻ると、ベッドにダイブして枕に顔をうずめた。
リサ
リサ
(こんなこと思うのだめだと思うけど…さっきリヴァイ兵長が助けてくれた時…抱きしめるみたいだった…っ…)
リサ
リサ
(きっと私顔赤かったよね…あぁもうっっ)
リサ
リサ
(私……こんな調子でこれから務めていけるかな??上の空になったりしないかな??)
リサ
リサ
(心配だけど…でも…)
リサ
リサ
(こうやってまた、何もなかったかのように過ごせるのは…嬉しいな)
_______
リサ
リサ
(全っ然眠れない……)
もう一時のはずなのに、私の目はまだバッチリ開いていた。
リサ
リサ
(絶対明日寝不足になるから、早く寝たいのに…、どうしようかな…)
リサ
リサ
(そうだ、ずっと行ってみたいところが
あったんだった…、そこ行ってちょっと風に当たろうかな)
私はもそもそとベッドから出た。
深夜二時。調査兵団本部は静まりかえっていて、まるで誰も居ないかのようだった。
辺りの松明はもうすっかり消されていて、私は月明かりを頼りに目的地へ向かって進んでいた。
そこに続く階段を、〈立ち入り禁止〉の看板を横目に上る。階段がすっかり途切れたところで、私は目の前のドアを開けた。
目の前をザアッと風が吹いて…。
ふっと月明かりが暗くなった。
誰かの人影が見えて、私は目をこらした。
リサ
リサ
(ん……あれ?リヴァイ兵長?…と…)
彼の隣にもう二人、誰か居る。
リサ
リサ
(赤髪の女の人と…もうひとり男の人…)
リサ
リサ
(あんな人達、調査兵団にいたんだ…?)
三人は、とても楽しそうに話していた。
星がいっぱいの、夜空を見上げながら。
リヴァイ兵長が何やら微笑んで、二人も笑った。
また風がザアッと吹いて、三人の姿が霞む。
リサ
リサ
(え…消えていく…?!)
リ、リヴァイ兵長!イザベルさん、ファーランさん!!
私は何故か知らないはずの二人の名前を呼
んでいて_____。
私が次に顔を上げたときには、もうその三人は跡形もなく消えていた。
リサ
リサ
(何、今の…?幻覚…?それとも、この屋上の記憶…?)
リサ
リサ
(あんな楽しそうなリヴァイ兵長、初めて見た。なんだかあの三人は、信頼しあってるみたい___)
リサ
リサ
すごいな…羨ましい。
私は目線を落としてそう呟くと、風になびいて乱れた髪を耳にかけ直し、屋上を去った。

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