私とリヴァイ兵長は、カツンと同時にペンを置いた。
リヴァイ兵長がベッドに入った。
私は目の前の書類の山に目を戻した。
見下ろしていたせいか気付かなかったけれど、私が持った紙の山は案外高くて私の目線の高さを超えていて、
その重さに私の腕が耐えられるわけがなく、私はバランスを崩して書類の山が残っている方に向かってゆっくりと傾いていった。
もう、倒れる_____!
あれ?
私は倒れていなかった。
リヴァイ兵長が倒れる方向に立ってくれていたから___。
ガチャ
ドアの閉まる音が寂しく響いた。
私は部屋に戻ると、ベッドにダイブして枕に顔をうずめた。
_______
もう一時のはずなのに、私の目はまだバッチリ開いていた。
私はもそもそとベッドから出た。
深夜二時。調査兵団本部は静まりかえっていて、まるで誰も居ないかのようだった。
辺りの松明はもうすっかり消されていて、私は月明かりを頼りに目的地へ向かって進んでいた。
そこに続く階段を、〈立ち入り禁止〉の看板を横目に上る。階段がすっかり途切れたところで、私は目の前のドアを開けた。
目の前をザアッと風が吹いて…。
ふっと月明かりが暗くなった。
誰かの人影が見えて、私は目をこらした。
彼の隣にもう二人、誰か居る。
三人は、とても楽しそうに話していた。
星がいっぱいの、夜空を見上げながら。
リヴァイ兵長が何やら微笑んで、二人も笑った。
また風がザアッと吹いて、三人の姿が霞む。
私は何故か知らないはずの二人の名前を呼
んでいて_____。
私が次に顔を上げたときには、もうその三人は跡形もなく消えていた。
私は目線を落としてそう呟くと、風になびいて乱れた髪を耳にかけ直し、屋上を去った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。