第14話

彼女の悲しみ
1,524
2020/02/14 11:17
リサ
リサ
え、どう、して…
ペトラ
………
ペトラさんは悲しげな表情で私から目線を逸らす。
リサ
リサ
(好きも、何も…、私さっき自覚したばかりなのに…)
その時、なぜだか憲兵を殺したときのことがフラッシュバックした。
リサ
リサ
(っ…!!狭いところで、二人きりで話しているから…?ぅ、怖い…、怖い…!)
そして、記憶の中の私は、また人を殺した。
そして、悟った。
そっか…、私は一人の人生を奪ったんだ
そんな人が、人に恋しちゃいけないんだ
こんなときに記憶がフラッシュバックするのは、私のためなんだ
自分の勝手で、人を傷つけるという過ちを犯さないための___
だから
リサ
リサ
……私は…、前科者の私は、恋なんてしちゃだめなんです
ペトラ
!!
リサ
リサ
だからペトラさん…、私、リヴァイ兵長のこと、好きなんかじゃないです
そう言って、私は笑う。
うまく誤魔化せたかな?
きっと歪んでたよね。
だって本当は______。
私はそこで、思考を止めた。
リサ
リサ
ペトラさん、本当にありがとうございました。食堂行きましょう!
今度こそ本当に、にっこりと笑う。
ゆっくり顔をあげるペトラさんは、やっぱり綺麗だなぁと思った。
私は歩き出す。
胸の痛みに気付かないふりをしながら___






ペトラside
ペトラ
はぁ…
食堂についてリサちゃんと別れた後、私はひとりため息をついた。
ペトラ
(年下で、心に傷を抱えてる子に…、私、何聞いてるんだ…)
私は食堂の隅でスープを飲みながら、自分の心が歪んでしまったあの日のことを思い返した。
________
ペトラ
(新しく入ってきたエレン、元気で良い子だな、…それにしても、もう一人の子はどこに居るんだろう)
その日はエレンとリサが調査兵団に来た初日。私は掃除係という不思議な立場で入団したリサを一目見たくて、本部を歩いて探し回っていた。
本部の一番東まで来たとき、
??
やったぁぁぁぁあ!!
近くの部屋から、女の子の嬉しそうな声が聞こえてきた。
ペトラ
(ん?みんな訓練中のはずなのに、誰か居るのかな?)
そう思って、声が聞こえてきた部屋を覗く。
息が、止まった。
ペトラ
……………嘘
リサちゃんとリヴァイ兵長が、幸せそうに抱き合っていたから____。
ペトラ
(あれが、今日入ってきた新しい子?やったぁ…って、もしかしてリヴァイ兵長に告白して…?それで、成功したからあんなに幸せそうなの?っ……………、リヴァイ兵長……っ)
私は気付かれないようにその場を離れ自分の部屋に閉じこもった。
それからしばらくしたときだった。
??
これからよろしく私の部屋……っ?!す、すみませんでした!!
彼女が部屋に入ってきたのは。
泣き出しそうなのをこらえて、優しく振る舞って…
彼女が___リサちゃんが部屋から出て行った時、
緊張の糸が切れたのか、私は静かに泣きだしてしまった。
それからまたしばらくして、コツコツという私が大好きな音が響いたとき、どうしても一目見たくて、ドアをすこし開けて見てみたら、
リヴァイ兵長が…、リサちゃんを優しい目で見ながら、お姫様抱っこしていた。
そして、次の日には立体機動の特別レッスンに、
長い時間二人きりで書類仕事。
悲しかった。
わたしはもう見てもらえないんじゃないかって。
羨ましかった。
私が知らないリヴァイ兵長の表情を、見たんじゃないかって____

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