第19話

怪我
1,330
2020/03/31 22:44
ミリアン
おはよぉリサ!今日異動だよね。さらに寂しくなるなぁ
リサ
リサ
おはようミリアン。私もミリアンと離れるの不安だけど、あっちにはエレンも居るし、指名なんだから…頑張ってくるね!!
ミリアン
うん!ファイトー!私も今日は大変だろうなぁ。新兵入ってくるし…
ミリアン
あっ、新兵はここに来た後、旧調査兵団本部に寄るらしいよ!愛しのジャン兄に会えるかもね!
リサ
リサ
ちょっと、ミリアン…!もう…、会えるのは嬉しいけど、抱きついたことはもう忘れていいから…!
ミリアン
ふふ、忘れたら忘れるよ!
リサ
リサ
もう…
リサ
リサ
あっ、もうこんな時間!私行くね!
リサ
リサ
今日、お互い頑張ろうね!
ミリアン
うん、行ってらっしゃい!
──────────
リサ
リサ
道に迷った…!
リサ
リサ
(地図あれば大丈夫って言っちゃったけど、私実は一人で地図を見て移動したのは初めてなんだよな…)
リサ
リサ
近くには来てると思うんだけど…
立ち止まっては地図とにらめっこをしている私をスーミャは心配そうに見ている。
リサ
リサ
ごめんね…、私方向音痴なのかな…?
ブルルルル、とスーミャが口を鳴らした。
リサ
リサ
うーん…ここらへんウロウロしてみよっか…
少し手綱を引くと、スーミャはパカリパカリと歩き出した。
リサ
リサ
周りに居る人に聞けばよかったな…
スーミャの手綱を引きながら、もう一度地図を開いたとき、
ズルッ!!!
リサ
リサ
ひゃっ…!
ヒヒィィイン…!
スーミャが大きく体勢を崩し、私達はその場に盛大に倒れてしまった。
リサ
リサ
…っ…ごめんね…前、見てなかった…。
私のせいで散々な目に会わせちゃって…本当にごめんね、スーミャ
フヒィィ
スーミャは「大丈夫!」と言うかのように私の目を見た後、すっと綺麗に立ち上がった。
リサ
リサ
(私も立ち上がらないと…)
体を起こし、立ち上がろうと足に力を入れる──。
リサ
リサ
ッ…!!
スーミャの全体重が乗った、左脚がズキンと痛んだ。
リサ
リサ
っう、いたい…!
スーミャが私を気遣うように、その黒い目で見つめてくる。
リサ
リサ
だ、大丈夫だよ!今立つから……っ!
あまりの痛さに、左脚を手で抑えた。
リサ
リサ
(どうしよう、立てない…!この後、掃除もしなきゃいけないのに───旧本部行かなきゃいけないのに───リヴァイ兵長のご指名なのに──)
痛みと不安で、目から涙が零れた。
その時、
??
リサ…?
と言う声と共に、幾つかの馬の足音と、大きな泣き声が聞こえてきた。
音の方を見ようとするも、脚の痛みと涙で誰だかわからない。
??
お前らは先に行ってろ
はい!という元気な声が複数耳に届く。馬の蹄の音が遠ざかり、かわりに一つの足音が近付いてきた。
??
おいリサ、そこで何やってる
リサ
リサ
っ、う…?
痛みをこらえて顔を上げるも、涙で滲んで、緑色のマントと黒髪の人とは分かるものの、誰かが判別できない。
リサ
リサ
だ、だれ…?
そう言うと、影ははぁ、と溜息を吐くと、私の目線の高さまで屈んでくれた。
??
目をつぶれ
と言うので、私は大人しく目をつぶる。瞼にひやりとした感触が走った。
リサ
リサ
っ…
??
オイ、これで見えるだろ
リサ
リサ
(涙を拭ってくれたのかな…?)
私は痛む左脚を手で押さえながら、恐る恐る目を開けた。
リサ
リサ
!!
リサ
リサ
リヴァイ兵長!!
リヴァイ
リヴァイ
やっとわかったか
リサ
リサ
すみません、私…、っ!
また痛みが脚に走って、私は声を漏らす。
リヴァイ
リヴァイ
その怪我…、乗馬中に倒れたか
リサ
リサ
はい…すみません
リヴァイ
リヴァイ
取りあえず旧調査兵団本部に向かうぞ
リサ
リサ
はい
リヴァイ兵長は周りをウロウロしていたスーミャと自分の馬を呼ぶと、私に手を差し出してくれた。
リサ
リサ
ありがとうございま、す
リヴァイ兵長が強い力で引っ張ってくれたおかげで、痛んだものの、立ち上がることが出来た。
リヴァイ
リヴァイ
馬には乗れるか
リサ
リサ
大丈夫だと思い…ます
私がスーミャに乗ろうと横に立つと、スーミャはいつかのように脚を折ってくれた。私も両脚に力を入れようとする。
リサ
リサ
(っ…、痛くて、力が入らない…こんなに痛いの、人生ではじめてだよ…)
どうにか乗ろうと苦戦していると、急に体が持ち上がって、私はスーミャの上に乗っていた。
リヴァイ
リヴァイ
乗れねぇんじゃねぇか
リサ
リサ
すみません…、ありがとうございます
リヴァイ兵長も自分の馬にまたがると、ゆっくりと進み始めた。

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