ふ、ぁぁあ
(あ~…眠い…ってまだ五時半?!あっ、でも兵団は六時起床なのか…。それでもまだ時間あるし、シャワー浴びるか…)
シャーーー
ふぅ~、すっきりした~
(着替えるか!)
パサッ
(今日から、掃除係の制服を着られるんだよね!エルヴィン団長って優しいなぁ、デザイナーになるのが夢だったって言ったら私にデザインさせてくれて…。おかげで、凄く満足いくのができた!)
白いのブラウスに、自由の翼モチーフの、胸からある紺色のワンピを重ねてきて、淡いピンクのスカーフをつける。
(これに編み上げブーツをあわせてっと…)
できたっ!うん、すごく可愛い!
私は髪の毛をとかして、片方の髪を耳にかけると、ぱちんっと頬を叩いて、
よしっ!
とドアを開けた___。
__________
ここ、どこ…?
(私、絶賛迷子だ…。もうきっと朝食の時間だよね…おなかすいた…)
本当にどうしよう。
そう思いながらも廊下に立ち往生していると、
あれ~、リサじゃないか
あっ、ハンジ分隊長!
こんな所でどうしたの?もう朝食始まってるよ?
あっ、えぇっと…
……私、迷子になってしまって…
あ~、ここはどこも同じ様な景色だからね~、よし、私が案内してあげよう!
ありがとうございます!
ところで、ハンジ分隊長はなぜここに?
寝坊に決まっているじゃないか!
……(こ、こんなこと思ったらあれだけど、こんな人が分隊長になっても大丈夫なのだろうか…?)
________
やっとついた~!朝食だ朝食!
(やった~!おなかすいた~!)
オイ、待てお前ら
!!!(ひぃぃぃいっ、リヴァイ兵長の目が…怖い、)
ん~?どうしたのリヴァイ~?
なぜ遅れてきた?
私は寝坊でリサは迷子だよ~
……リサは良いとして、ハンジは説教だ
ひぇ~っ、リサ、助けて!えっ、ちょ、なんで離れてくのっ?!リサぁ!
ご、ごめんなさいハンジ分隊長!!すみませんすみません!
(リヴァイ兵長相手に刃向かうなんて、怖すぎて出来ないよ~!!)
あっ、リサ!やっときた
ごめんエレンくん、おはよう。迷子になってた…
?!ここで?!ははっ、リサって面白いな!!
う……(笑われてしまった…)
クスッ、悪い悪い、つい面白くて
モグモグ…
サリー、食べるのおせぇな
あっ…そうなの、昨日みんなの食べるスピード見て早く食べられる様に市内とっておもった
俺が少しもらってやろうか?!
ありがとう!…嬉しそうだね(苦笑)
エレンくんはこの中でどのおかずが一番好き?
パン!
じゃあ、はい!
お~っ!ホントにいいのか?!
うん、私は地下牢に入る前よく食べてたから
ありがとな!!モグ…
ふまひ!!はりはほな、ひは!
(美味い!ありがとな、リサ!)
ううん、どういたしまして!
モグモグ…
(あっ…、今日もサラダマヨネーズかかってる…)
(どうしよう…パンもサラダも食べないとおなかすいちゃうし、しかも食糧不足なのにニガテだからって食べないのは…でも…マヨネーズ…)
パサッ
!!
……
(エレンくんにバレないようにしてくれたのかな?)
ありがとうございます!(コソッ
……
リヴァイ兵長はちらりと私に目を向けたあと、食堂を出て行ってしまった。
(リヴァイ兵長は、どうしてこんなに私に優しくしてくれるんだろう…?会ったことがありそうなのが関係あるのかな…?)
ガタン
ごちそうさまでした!
リサ、食べ終わったか?行こうぜ!
あっ、うん!
エレンくんの明るい笑顔に呼ばれて、私も自然と笑顔で立ち上がった。
_____
えっと…今日は月曜日だから、廊下と食堂とトイレだけで良いのかな?
ガタガタ
ふぅ~、掃除道具はこれで全部か。よし、やるぞっ!
キュッキュッ…
私は西側の廊下からはじめた。
あ~、腰が痛い…。体力つけなきゃなぁ…
あれ?あの時リヴァイ兵長と同じ馬車にいた…
!あっ、こんにちは!
リサだ!
はい!!覚えててくれたんですね!
うん!あの時お疲れ様って言われて、スゴく嬉しかったから…
私はミリアン・グレー!去年新兵として調査兵団に入ったの
そうだったんですか!
うん、だからリサとはエレンの次に年が近いかな~、リサは何歳だっけ?
十三歳です!
私は十六!ねぇ、私達友達にならない?私、リサと仲良くなりたい!
…!いいんですか…!スゴく嬉しいです!!よろしくお願いします!
ふふ、真面目だね!
敬語外してよ!
!!よっ、よろしく、“ミリアン“!
ところでさ、リサ、掃除は順調?
あ~…ちょっと疲れちゃった。まだ少ししかやっていないのに…
ん~、私が思うに、それは一人でやっているからだよ!
そっ、そうなの?
うん!つまり、二人でやればはやいってこと!
!!ふふっ、確かに!
じゃあミリアン、手伝ってくれる…?
もちろん!私にも雑巾かして!
はいっ!
じゃあどっちが速くあそこまで行けるか競争ね!
うん!絶対負けないよ~!
私だって!
ダダダダダ…
イェ~イ、勝った!
はぁ…はぁ…悔しい~!よしっ、次はそこまで!
ふふっ!次も負けないよ!
_____
はぁ…はぁ…
はぁ…はぁ…
疲れた~、いい汗かいたなぁ~!ミリアンのおかげで廊下すごいはやく掃除し終わったよ!ありがとう!
いえいえ、どういたしまして!
お~い、ミリアン、ちょっとこい!
あっ、はい!
ごめんねリサ、じゃあまたね!
うん、夕飯一緒に食べようね!
_____
ふぅ…(トイレも掃除し終わったから、後は食堂か…)
窓の外をチラリと見ると、立体機動の訓練をしている、ペトラさん達が見えた。
(……私も立体機動、やってみたいな…)
何を止まっている?
!!すっ、すみません!
立体機動の訓練を見ていたら…つい
…やりたいのか
はい…なんだか、空をとんでいるみたいに見えて…
……掃除が終わったら俺の部屋に来い、立体機動を教えてやる
!!ホントですか?ありがとうございます!頑張って速く終わらせます!
……
リヴァイ兵長は去って行ってしまった。
(やった!立体機動教えて貰える!しかも、人類最強のリヴァイ兵長に!!すっごいうれしい!)
(頑張って掃除終わらせようっ!)
_____
(終わった~!やっと終わった~!えっと今は…十時!たくさん練習出来そう!!)
(リヴァイ兵長の部屋…緊張する…)
コンコン
リサです
入れ
掃除終わりました…っ!?うわぁあ!
ドサドサドサッ
いたい……これは…何ですか…?
書類の山だ。片付けるの手伝え
えっ、立体機動…
この後だ
!!すっ、すみませんやります!
(リヴァイ兵長…怖いよぉ…ていうか立体機動…)
それから私とリヴァイ兵長は書類の山と格闘し始めた。
あの…リヴァイ兵長、ここら辺終わりました、次は何をすればいいですか?
…これを頼む
了解です…あっ、そうだ、リヴァイ兵長って紅茶お好きなんですよね?
まぁな
これ三時までに終わらせて、お茶して立体機動しましょう!
…お前の働き次第だな
頑張りますっ
カリカリカリカリ…
(あれっ、私何かリヴァイ兵長の思い通りに動いていないか…?)
チラリとリヴァイ兵長を見る。
!!
すると、リヴァイ兵長も私を見ていて、パチリと目が合った。
何だか気まずくて目をそらす。
(リヴァイ兵長って…よく見たら顔、すごく整ってるな…黒髪もサラサラ)
(エレンくんと彼もそう、柔らかい髪に日光が当たると透き通って、何だか夢と決意をたたえた目が綺麗で___)
…リサ
ひゃいっ!
(ひいっ、こんなこと考えてる時に声かけられたから変な声出ちゃったよっ)
お前はエレンが好きなのか?
えっ?!どうしてですか?!
はやく答えろ
(ビクッ)
えと、エレンくんは、友達、です
でも、なんだか、私の昔の好きな人に似てて…
最近会ってないんですけど、近所に住んでたお兄ちゃん…
ほぉ
ちょっ、まっ、まじまじと見ないでください…!
意外だ
なっ、何がですか?!
そういうクソには関わったことが無いと思っていた
クソなんかじゃないですっ!
結構一途に好きだったんですよ?!
ほぉ…何日だ?
日じゃないです、バリバリ年です!
…チッ、何年だ?
六年以上です
お前は馬鹿か
何がですかっ?!
……
ジャン兄は優しくて不器用で、格好よくて可愛かったです!
…そこまで熱弁しておいて、何故“昔の“好きな人なんだ
ねつ…っ?!そんな…っ、う…
…………すみませんでした、上司に向かって口答えしてしまって
…構わない
……?リヴァイ兵長?
なんだ
なぜそんな傷ついた様な顔しているのですか…?
…してねぇ
…そうでしたか、すみません
(何か今日のリヴァイ兵長、おかしいな…)
(はっ!もしかして!)
リヴァイ兵長っ!リヴァイ兵長にも好きな人がいるんですか?!
…くだらん
いやっ、先に聞いてきたのはリヴァイ兵長ですっ、そんなに聞くってことはそうなんじゃないんですか??例えばペトラさんと…か…
(あれ…、なんだろ、今…胸の奥が痛かった。ジャン兄と一緒に居るときと同じ___…)
…ペトラ?あいつは部下で俺は上司だ
あっ、そっ、そうですよね…
すみませんリヴァイ兵長、仕事します
あぁ、真面目にやれよ
カリカリカリカリ…
(さっきのって…もしかして…でも…リヴァイ兵長は上司で…ジャン兄じゃなくて…)
(あ~っ、ダメだっ!仕事中仕事中!集中集中!)
ガリガリガリガリガリッ
…音すごいぞ
はっ!すみません、でも紙に穴は空いてないので大丈夫ですっ!
そうか
_______
終わった~!終わりました、リヴァイ兵長!
はやいな
よしっ、二時半!お茶しましょう、リヴァイ兵長!
あぁ
淹れますねっ、紅茶!ダージリンでいいですか?
あぁ、助かる
とぽぽぽぽ…
入りました、リヴァイ兵長
あぁ、…クッキー食べるか
はい、クッキー大好きなんです!
サクッ…
美味しい~♡
……三時から立体機動教えてやる
はい!あと15分…それまでに飲みきらないと…
そういえば一口も飲んでねぇな
あ…私、すごい猫舌で…
もったいねぇ、紅茶は熱いうちが一番だぞ?
はい…でも…舌が焼ける…
……熱いの我慢して飲んでみろ
……えっ……
ほら、飲め
グイッ
リヴァイ兵長が私の紅茶のカップをガッととって、私に無理矢理紅茶を飲ませた。
~~~~ん~~~!
ガッ
ハァ…ハァ…熱いっ、熱いぃ…っ
ふっ…
わっ、わっ、笑い事じゃないですっ!
(うぁぁあっ、熱かったっ!しかも…)
(リヴァイ兵長…顔…近かった…)
なんだか不思議な沈黙が続いた。
(ひぃ…さっきの思い出しちゃって…顔が…っ)
…顔赤いぞ、どうした
いやっ、あのっ、これは…っ!
ガチャッ
!!
あっ、え~っと…
こっ……
(ここで来るかぁぁあっ!)
今は…ちょうどリヴァイ兵長が私の額に手を当てて、熱を測ってくれている所だった___!
…熱はないな…
ペトラ。どうした
あっ、えっと、頼まれていた書類、終わりました!
あぁ、そこに置いておけ
はい、失礼しました
ガチャン…
(ぜっったいペトラさん勘違いしたよね?!)
……オイ
はいっ!!
あと5分ではじめる
へっ!もうこんな時間っ!
行くぞ
はっはい!パクッ
………何か食べたか
いっ…いいえ何も!
~訓練地~
つけろ
あっ、はい!
(ていうか私…付け方知らないけど…これでいいのかな…?)
(えいっ!)
ガチャガチャッ、ガチッ!!
(…………すごい音した……壊れてないかな……)
チラリとリヴァイ兵長を見ると、
(ひぃぃぃぃい!)
般若の顔でこっちを見ていた。
お前…立体機動装置がどれだけ高価なのかわかっているのか?
すすすすすみませんっっ!
____それから三時間ほど立体機動の訓練をしてもらった。(ちなみに素質を確かめるみたいな行程はあの装置がなかったので立体機動装置で応用した)
あそこの巨人の模型のうなじを削げ
はっはい!
パシュッ、ザシュッ!!
ど、どうでしょうか?
ガスの使い方も、傷の深さも訓練を始めてすぐにしては悪くねぇ。兵士になって訓練したら…まぁ…調査兵団の中の上くらいにはなれるだろうな
ホントですか!ありがとうございます!
あぁ
リヴァイ兵長は微笑を浮かべて私に言った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。