第16話

昔の思い出2
1,352
2020/02/28 05:27
リサ
リサ
ジャン兄、今日はどこに行くの?
ジャン
ジャン
新しい所行くぞ!
リサ
リサ
新しい所?
ジャン
ジャン
あぁ!その壁の先の、“ウォールマリア“!
リサ
リサ
うぉーるまりあ…?
リサ
リサ
行ってみたいけど、壁の先に行くんだったらトー兄も一緒の方が…
ジャン
ジャン
トーマス居たら止めるじゃねぇか!とにかく今がチャンスだ、行くぞ!!
ジャン兄が走り出した。私も、転びそうになりながらも必死で走る。
リサ
リサ
(ママに壁の外には行くなって言われてるけど…ジャン兄もいるし、大丈夫、だよね)
私達は走って壁まで行くと、門兵の人の目を盗んで、ウォール・マリアに入った。
ジャン
ジャン
……あんま変わんねぇな
リサ
リサ
…うん
一番始めに思ったのは、それだった。
同じような市街地が続いていて、町並みもほとんど変わらない。違うのは、大きな壁に囲まれていないことくらいだ。
リサ
リサ
……ジャン兄、戻ろうよ。何もなさそうだし…
リサ
リサ
遅くなったら、またおばさんに怒られちゃう
くん、とジャン兄の手を引っ張ると、
ジャン
ジャン
あー、そうだな
とジャン兄はつまらなそうに言って、行くぞ、と回れ右をして歩き始めた。
その時、
















ド────────ン!!!!







という大きな音が、遠くから聞こえてきた。
町の人
うわぁぁあぁあ!!
町の人
きゃぁぁあ!!
あちこちから、訳も分からず悲鳴が聞こえる。僅かに地面も揺れていた。
その時、南の方から現れた駐屯兵団の人が、叫んだ。
兵士
兵士
シガンシナ区とウォールマリアが突破されたんだ!巨人が攻めてくるぞ!
うわぁぁぁぁぁぁあ!!!
どうして今日、100年持った壁が…!
逃げろぉぉ!内地にぃ…!
おかーさーん!!おかぁさーーん!!
混乱した人々が悲鳴を上げながら一斉にこちら──門の方に走ってくる。
物凄い形相で、周りの人を押し倒し、蹴散らしながら。
リサ
リサ
ひっ…!
ジャン
ジャン
何止まってんだ!!逃げんぞ!
ジャン兄は、歩みを1度止めていたその足を再び動かした。













繋いでいた手が、するりと抜けた。
ジャン
ジャン
っ…、リサ!
リサ
リサ
う…ジャン兄…っ
足が…、足が動かない…













すぐ後ろまで、その時私の中で巨人よりも怖い足音が迫っていた。

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