第3話

知らない君
164
2021/01/11 06:44
「ヤバイヤバイ、今日日直なのど忘れしてた」


教室に置いてきてしまった日誌を急いで走り取りに行くと私は大急ぎで職員室に届けた。


先生に渡すときに息が上がっていたら何か言われそうだったから必死に苦しいのを堪え、私終えて職員室の扉を閉めた途端に私は溜め込んだ空気を一気に吐き出した。


「あぁ、疲れた」


私はかがんで膝に手を当てると、ため息をついた。



最近ため息ばっかだな…心の隅でそんなことを考えながらも私は気を引き締めて昇降口へ向かった。



「やばい、カバン置いてきちゃった」


急ぎのあまり、昇降口には靴を脱ぎ散らかしてカバンまでそのまま置いてきてしまったことを思い出す。


でも昇降口には友達が待っていてくれているはずだから…。



「あ、」

昇降口に近ずくと聞き覚えのある声が耳に入った。



「侑だ」


部活にこれから行くのだろうか、侑とその周りには何人か男子がいるのがわかる。

私は耳を澄まして会話を盗む聞した。



「お前も受験頑張れよ!」

「人の心配じゃなくて自分のことをやれよ…」


「はいはい、それにしてもさ…お前いつ告白すんの?」

「美咲だろ?」


「いや受験受かってからにしようかなって」


「うわぁその時は俺いないかもな」

「あぁ侑引っ越すのって3月後半ごろだって言ってたよな」

「そうそう」


え…?

侑引っ越の?



侑ではない誰かが私に告白しようとしていることより、侑が引っ越すという事実の情が私の心に深く突き刺さった。

プリ小説オーディオドラマ