第5話

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2019/08/31 23:56




そこにいたのは、
朝話が出ていた男の子だった。





花壇のお花に向かって、
微笑んでるのを見て

なんだか胸が熱くなった。








本当はみんなと話したいけど、
緊張して話せないんじゃないかな……






あたしの中で男子って、
花壇踏み荒らすイメージがあるけど


あんなに綺麗な笑顔初めて見た。





もう卒業だってのに……


誰も、この子のことを知らないなんて…
誰も、思い出せなかったら…










なんて考えてたら余計悲しくなって、


いてもたってもいられなくなった。





あなた

ねえ、何してるの?



男の子は、少し驚いた顔であたしを見た。





カンタ
カンタ
べ、別になんだっていいでちょ……!
あなた

ぷっ!でちょってなに!?おっかしー!(笑)




焦って噛んでるのが人目でわかり、
お腹を抱えて笑った。




カンタ
カンタ
や、やめろよ!!
あなた

あ、ごめん……




機嫌、損ねたかな……



少し笑いすぎたなぁと、
落ち込んだ。




カンタ
カンタ
で、なんか用?

不意の質問に戸惑い、
あなた

あのね!ここらじゃ見かけない顔だなって……どこから来たの?





なんか変な質問してしまった……




カンタ
カンタ
どこだって……いいだろ




……そりゃそうなるよね。




機嫌を損ねた上、
変な質問してしまって余計落ち込む。












友達になりたい。





よしっ!






顔を上げるとその子は帰ろうとしていた。




あなた

待って!!



腕をつかみ引き止める。



カンタ
カンタ
な、なに?

動揺してるのが分かる。




でも……今言わないと…





あなた

確かにどこだっていい。全く興味ない。でも……いつも独りでいるよね?友達になってくれないかな……



いざ言うと結構恥ずかしいね(笑)






カンタ
カンタ
なんで……


困った顔をする。


あなた

なんでって……んー



なんでって言われても……






そのまましかないもんね!




あなた

貴方だから!!どこの人とか関係ない、貴方だから、あたし、友達になりたいの!




あたしの言葉を聞いて色んな表情をする。



あなた

ねっ?いいでしょ?

カンタ
カンタ
でも俺……いつまた引っ越すか分かんないし……
あなた

引っ越したら手紙書く!会いには行けないかもしれないけど……連絡する!絶対あたしは、貴方の事忘れないから。




そう、みんなもしかしたら忘れるかもしれない。





それでもあたしは、
こんなに綺麗な笑顔をする貴方を



どうしても忘れたくない。





カンタ
カンタ
友達に……なりたい
あなた

ほんと!?やった!!






あたしは思った以上に嬉しくなり、
その場で喜んだ。







それから自己紹介と、
連絡先を交換した。








それが、あたし達の出会いだった。




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