そこにいたのは、
朝話が出ていた男の子だった。
花壇のお花に向かって、
微笑んでるのを見て
なんだか胸が熱くなった。
本当はみんなと話したいけど、
緊張して話せないんじゃないかな……
あたしの中で男子って、
花壇踏み荒らすイメージがあるけど
あんなに綺麗な笑顔初めて見た。
もう卒業だってのに……
誰も、この子のことを知らないなんて…
誰も、思い出せなかったら…
なんて考えてたら余計悲しくなって、
いてもたってもいられなくなった。
男の子は、少し驚いた顔であたしを見た。
焦って噛んでるのが人目でわかり、
お腹を抱えて笑った。
機嫌、損ねたかな……
少し笑いすぎたなぁと、
落ち込んだ。
不意の質問に戸惑い、
なんか変な質問してしまった……
……そりゃそうなるよね。
機嫌を損ねた上、
変な質問してしまって余計落ち込む。
友達になりたい。
よしっ!
顔を上げるとその子は帰ろうとしていた。
腕をつかみ引き止める。
動揺してるのが分かる。
でも……今言わないと…
いざ言うと結構恥ずかしいね(笑)
困った顔をする。
なんでって言われても……
そのまましかないもんね!
あたしの言葉を聞いて色んな表情をする。
そう、みんなもしかしたら忘れるかもしれない。
それでもあたしは、
こんなに綺麗な笑顔をする貴方を
どうしても忘れたくない。
あたしは思った以上に嬉しくなり、
その場で喜んだ。
それから自己紹介と、
連絡先を交換した。
それが、あたし達の出会いだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。