それから高校に上がったあたし達は、
いつも一緒にいた。
帰りも行きも一緒で、
まるで幼い頃からいるように
いつの間にか親友になっていた。
そしてそんな日は、
あまり長くは続かなかった。
それは高校2年生の夏。
カンタから聞く言葉を上手く受け取れない。
いきなりのことで動揺が隠せない。
そんな……
もう、一生会えないかもしれないの……?
そう聞きたくても聞けない。
聞いたら……そうなる気がして……
何も言えず、ただカンタを見つめる。
そう言ってあたしのほっぺを触る。
あたし今…どんな顔してる?
謝んないでよ……謝られたらあたし……
我慢していたものが出そうになり、
もっと我慢する。
早すぎるよ……
何も、できないじゃん……
あと1か月で、
どんな思い出を残せば寂しくないんだろう…
その日は何も手がつかず、
ただぼーっとしたまま時が過ぎた。
その日はもうあまり覚えていない。
ただ覚えているのは、
悲しさと寂しさと、
あと辛くて痛い想いでいっぱいだったってことだけ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。