第6話

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2019/09/02 22:40


それから高校に上がったあたし達は、
いつも一緒にいた。



帰りも行きも一緒で、

まるで幼い頃からいるように
いつの間にか親友になっていた。









そしてそんな日は、
あまり長くは続かなかった。














それは高校2年生の夏。




あなた

えっ……



カンタから聞く言葉を上手く受け取れない。




カンタ
カンタ
だから、俺……海外に帰ることになったんだ…


いきなりのことで動揺が隠せない。



あなた

……い、いつ、帰ってくるの?

カンタ
カンタ
……分かんない。いつになるかも、そもそも帰って来れるのかも……


そんな……



もう、一生会えないかもしれないの……?






そう聞きたくても聞けない。

聞いたら……そうなる気がして……




何も言えず、ただカンタを見つめる。





カンタ
カンタ
っ……そんな顔…すんなよ…



そう言ってあたしのほっぺを触る。





あたし今…どんな顔してる?







カンタ
カンタ
……ごめんな



謝んないでよ……謝られたらあたし……






我慢していたものが出そうになり、
もっと我慢する。






あなた

いつ、帰るの?

カンタ
カンタ
……あと1ヶ月後なんだ。


早すぎるよ……


何も、できないじゃん……






あと1か月で、

どんな思い出を残せば寂しくないんだろう…


















その日は何も手がつかず、

ただぼーっとしたまま時が過ぎた。







その日はもうあまり覚えていない。





ただ覚えているのは、


悲しさと寂しさと、




あと辛くて痛い想いでいっぱいだったってことだけ。





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