茜色した細長い雲が色づいた夕暮れ時の空は、着々と色味を増していて
まるでたんぽぽの綿毛を運ぶような微風が、カーテンをすり抜けてさらりと通り過ぎていく。
閑散とした教室の中で佇む二人は、校内で最も有名な二人
?? 「 好きで好きで、..堪らなくて .. 」
?? 「 ..でも こんな気持ち、.. 初めてで 」
一人は、一度堕とすと決めれば必ず最後までやり遂げ、自らが惚れさせた相手にはその後目もくれないという男。即ち、度々誰かを堕としているにも関わらず、誰一人として本当に好きになったことはないそうで。惚れさせるのが好きなのは、彼の性分とも見て取れる。
もう一人は、堕とそうと試みた人間は、かえって彼に堕とされるという噂を持つ男。世間一般では" 鈍感 "という言葉で括られるが、実は一周まわって恋愛上手且つ駆け引き上手なのだから計り知れない。こちらもまた自身は惚れずに、相手の恋心のみが残るという状況を生み出すのだとか。
そんな二人が出会ったのは、偶然とも捉えられるだろうが
ある意味、必然的だったのかもしれない
結ばれないはずの二人。磁石のように反発し合う二人。
そんな二人の出会いは、目に見えない戦いの開始を知らせるきざしに過ぎなかった
所謂、" 心理戦 " の幕開けであったのだ
しかしその " 心理戦 " も
?? 「 ..よかったら 、俺と .. 」
今この瞬間をもって
?? 「 ..付き合って.. ください 」
終止符が打たれたようだ。
果たして堕としたのはどちらなのか ___
⇒ 「 堕とし合い。」 start
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お星様 、はーとちゃん 待ってます ..(震
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!