🐯 side
🐣 「 チョンジョングク、ってお前 .. 本気で言ってる?」
🐯 「 まじで言ってる 」
🐣 「 あいつは辞めといた方がいいぞ 」
🐯 「 なんでだよ、さっき俺が堕とせない奴なんて居ないっつったのどこのどいつだ?」
そう言って相変わらず柔らかいほっぺたを抓ると、"やめろやめろ" と手を振り払われる。いつまで経ってもこの反応は面白い。
🐣 「 だぁっ..もう、..そりゃお前に惚れないような奴なんて居ないだろうけどさ、チョンジョングクってのは、..その、.. 」
🐣 「 なんか、そういう類の人間じゃねぇっていうか 」
🐯 「 はぁ?」
🐣 「 惚れる惚れない以前の問題らしいぜ 」
🐯 「 どういう意味だよ、それ 」
🐣 「 まぁつまり 」
🐣 「 " 超鈍感 " ってことらしいけど .. 」
🐯 「 あぁ ㅎㅎ なんだよ、そういう系?大丈夫、鈍感な奴なりに堕とす方法あるし 」
そう机に肘をついて言えば、自身の顔を顰めながら俺の顔を覗き込むようにして見てくるジミナ。
🐣 「 お前高括ってると痛い目見る羽目になんぞ 」
🐯 「 何それ ㅎㅎ 堕ちなくて落ち込んで自信消失するぞってこと?」
🐣 「 逆だよ、逆 」
🐣 「 逆に堕とされて、チョンジョングクの事しか考えらんなくなるんだよ 」
こいつは何を言ってるんだ?直感的にそう思ったが、あえて口には出さなかった。今まで俺は、どんな奴でも堕としてきた。クラス1の人気者も、隅の方で大人しくしてる子も、端から端まで完璧に堕としてきたんだ。それでも誰一人として好きになったことは無い。そんな俺が?堕ちるって?あのジョングクって奴に?
🐯 「 笑わせんなよ ㅋㅋ 」
🐣 「 別にウケ狙いで言ってるつもりねぇし、事実だし 」
🐯 「 鈍感なんだろ?そんな奴がどうやって惚れさせんだよ ㅎㅎ 」
🐣 「 んー、噂によると .. 」
🐣 「 チョンジョングクが何か仕掛けるってわけじゃないらしいけど、挑んだ方がかえって堕とされるとかなんとか .. 」
やけに神妙な顔つきで言ってくるジミナを見て、ふと思ったことがある。もしかしたらこれは、一種のジミナからの警告なのかもしれない。噂を通しての間接的な話でも、俺へ脅しに近い発言をしている時点で、辞めとけという言葉をさらに強調しているに違いなかった。それぐらい、ジョングクはやばい男なんだってことだろうけど、挑んだ方がかえって惚れるなんて、これから挑もうとしてる俺はどう受け止めればいいんだか。
にしても、ジョングクを誘惑するような女がそこらに居るというのは信じがたかった。以前会った時は取り巻きの女子でさえも居なかったのに。けれど、あれほどまでに執拗に話すジミナの事だから、話を盛っているわけでも無さそうだ。ただ、そんな奴の方が尚更燃えると思ってしまうのも、残念ながら事実なんだ、ジミナ。
そのまま黙ってジミナを見つめる。これは一種の合図のようなもので。ジミナは何も言わずしもこちらの考えを察してくれる。すると案の定、呆れたように笑って "わかったわかった" と相槌を打つジミナ。しかしその後、軽く衝撃的な発言をかまされた。
🐣 「 ..ま、接点あんのか知らないけどさ 」
🐣 「 お前の初の試みの男を堕とすってのは 」
🐣 「 ジョングクならハマり役ってとこだな 」
🐯 「 なんで?」
🐣 「 だってあいつが堕としてんのって 」
🐣 「 男だけなんだろ? 」
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。