第7話

策略家
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2021/12/06 12:48
第6話「策略家」


ミネルヴァ軍地上本部
物資保管庫

ここは食料や武器などを保管しており
それらの出し入れは申請制となっている
それを一つの端末で管理していて
権限を持つ者以外見れないのだが...

春)次の最前線への補給は数日後か。

それを春は別の端末を繋げて覗き見ていた
集められた物資の情報て思考を巡らす

春)これに乗るのが一番の近道かな。

輸送トラックを見ながら呟く
荒廃した世界では長距離を移動する為の乗り物は
貴重で物資などを運ぶトラックは数台しかない

春)翼が話にのってくれれば
1人でやるより確率は上がるんだけどね。

志季の副官だった翼が第6軍に異動となった日
共に最前線へ行かないかと誘いをかけた
返事はまだ貰ってはいないが

春)必ず追いついてみせるよ、始。

救われたあの日からずっと夢見ていた事
最高戦力と呼ばれる彼を初めて見た時
強さの奥にある脆さを見た気がして
支えたいと思ったのだ




最前線

荒廃した都心地 商業施設内

人が沢山いた建物には人型のリグレットが
湧きやすいそれは人だった頃の記憶のせいだと
言われている

)キレイ...ニ、アイサレタイ。。

女の姿をしたリグレットが
服飾売り場のマネキンを壊しながら喋っている

隼)うんうん、君は綺麗だよ。
)ァ...

背後から斬られたリグレットが光の粒子に変わる

隼)もっと上だね。

天井を見上げ微笑む隼の目的はたった一つ

階段をゆっくりと登り 屋上への扉を開く

隼)あぁ、やっと見つけた...

後ろ姿からでも分かる強い光
そしてその光の内側にある闇が
その美しさを引き立てる

隼)人は残念だよね、
この光景が見られないんだから...!

最高速度で駆け出し刀を抜いて斬りかかる
キィン!と甲高い金属音が周囲に響き渡った

始)....何のつもりだ、隼。
隼)流石だね始、ほんの挨拶だよ。

渾身の一撃を容易く受け止められ
思わず笑みを溢した

隼)始こそ、ここで何をしてるのかな?
始)..お前には関係ない。
隼)じゃあ、聞き直そうか..誰を探してるのかな?
始)....答える必要は、無い。

力で押し返され均衡が崩れ互いに距離を取る

隼)あぁ、綺麗だな...

光の中で闇が始の心の動きに合わせて
形や色を変える様は綺麗で大好きだ

始)...俺に構うな。
隼)それは無理だね、始が好きだから♡
始)...(顔をしかめる)

リグレットが2人に惹かれ集まってくるが
2人が刀を打ち合う度に余波で粒子となり霧散する

始)...付き合い切れない。

始が屋上の端へと立つ
隼の追撃を躱すとそのまま飛び降りる
下に群がっていたリグレットを下敷きにして
衝撃を和らげ着地するとそのまま立ち去る

隼は楽しそうに微笑みながら始を見送るのだった


つづく

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