side : 緑谷出久
あなたちゃんが去っていく背中を見つめながら一人深い息を吐く
今にも溢れて止まらないこの気持ちを、君は受け取ってくれますか?
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あれは雄英生になって間も無い頃、教室で自習をしていた
割と得意な分野だったのだが、本格的につまずいてしまいいつもの独り言を零した時、君は現れた
女子と話すことなんて慣れてなくて、挙動不審になった僕を見て彼女はゲラゲラと笑う
その日から僕は気付いたら彼女を目で追っていた。友達と談笑したり、真剣に戦ったり、睡魔に負けそうになっていたり…沢山の君が知れた
何時だって、僕が君を一番想っていたんだ
それでも君と結ばれることなんてないんだって、分かってるんだ
君のその真剣な気持ちを知ってるからこそ、僕の気持ちは伝えないって決めたんだ
だからお願い、世間から噂される事くらいは僕にだって________
君との " 熱愛報道 " だけが、僕の心を暖かく彩っていくから
next.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。