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第84話

護衛係とリハ
しかし、その拳は燎君には当たらなかった。
凌久と燎君の間に入ったその人は凌久の拳を横から受け止めていた。
榎本 凌久
てめぇ、何の真似だ?
???
燎組若頭護衛係の ───
その言葉に一瞬だけ凌久の表情が引き攣った。
燎君は言われ慣れないのか苦笑いを浮かべる。
そして、護衛係がキッと凌久を睨み…
月城 楓
── 木城風月だ。
何かが重なったように凌久はハッとした。
榎本 凌久
木城って…は?お前が?
月城 楓
そう、木城風月。颯斗に何かあったら私が困るんだよ。龍さんに怒られる。
榎本 凌久
龍さん?
燎 颯斗
俺の父さん、燎龍一郎のこと。
月城 楓
まぁ、暴力団総長か何なのか知ったことじゃないけど、颯斗に手は出すな。それだけ。
楓は凌久を軽く睨むと、燎君から引き剥がすように押した。
何歩か後退りした凌久はかなり頭にきたようだったが、ここで暴れるのはマズいと思ったのか大きく舌打ちをして、千棘と自分達の席へ。
楪 千棘
弥生もこっち来なよ。
三室 弥生
あ、うん!
千棘に手招きされ、私は2人のところへ。
私が千棘に呼ばれたことに周りの人がコソコソと何かを話し出す。


まぁ、どうせ私が上がったことに驚いたんでしょ?
見ときなよ。この2人もいつかは落ちるから…
榎本 凌久
チッ…月城が護衛係だったのかよ…
三室 弥生
木城って言ってたけど、知り合いとかだったの?
榎本 凌久
まぁ、知り合いだな。小学校の頃、常に視線は下で顔の見えない木城風月ってやつがクラスにいたんだ。いつも燎にくっついて周りの女に睨まれても全く動じないやつでさ、中学校でも同じ感じ。
楪 千棘
木城風月と言えばあれでしょ?ピアノが天才レベルくらい上手いっていう。
榎本 凌久
ああ、高校になった途端に消えたと思った。…外向けの顔にあそこまで差があったとはな。
三室 弥生
う〜ん、確かに…
スマホで怜央と見たコンクールの時の木城風月の写真と楓を見比べてみる。


表情とか目付きとか…色々と変わってるから…
まぁ、分からないかな。
楪 千棘
つまり、小学校の頃から月城は燎の護衛係だったってこと?
榎本 凌久
多分。
三室 弥生
凄っ…
楓達を見ると、不満げに何かを訴える楓と少し照れくさそうに笑う燎君。
月城 楓
ったく…前から言ってるよな?護衛係はやるけど、働きたくないって。無駄に手間を増やすのやめようよ。
燎 颯斗
いやぁ、全部父さんじゃん?俺のせいじゃないし〜…別に楓もちゃんと家があるから大丈夫っしょ?
月城 楓
颯斗、お前なぁ……もういい…。
楓が大きく溜息をつく。
………ん?何だろ?今の言葉に何か違和感が…
二人の会話に微かな違和感を感じたが、それが何なのかまでは私には分からなかった。
でも、楓に何かありそうということだけは分かる。
その日の昼休み、何故か私服姿で息を切らしている悠翔君が教室に着た。
夕凪 沙羅
あ、悠翔君。どうしたの?
漣 悠翔
姉さん、呼びに、来ました…。
空閑 柚稀
は?
漣 悠翔
てか、何で学校にいるの…!?
空閑 柚稀
い、いや、何でって…
漣 悠翔
今日、リハでしょ!?本番もう明後日だよ!?
空閑 柚稀
え、嘘だ。てか、その間の学校は?
漣 悠翔
休むよ?
空閑 柚稀
嫌なんだけど。
漣 悠翔
そんなの父さんに飛行機でも取ってもらったらいいから取り敢えず、カムパネルラがいないと駄目だから!!
空閑 柚稀
うぅ…
悠翔君に急かされ、柚稀が荷物をまとめる。
そして、ブツブツ不満を漏らしている柚稀が廊下に行く。
漣 悠翔
それじゃ、沙羅さん。また明後日に。
夕凪 沙羅
うん!頑張って!
漣 悠翔
はい。ほら、姉さん。早く。
手を引っ張ると、2人はいなくなり、次の日。
柚稀は学校を休んだ…。