第89話

2軍の勢力トップ
2,290
2019/04/03 14:36
三室 弥生
ねぇ!
私がそう声をかけたのは2軍の中で最も勢力があるサッカー部の福留ふくどめつかさとバレー部の大野おおの優花里ゆかり
確か、優花里は倉科君が好きだったはず…
あと司は…
………男にしか興味が持てない人…。
大野 優花里
弥生ちゃん?どうしたの?
三室 弥生
ちょっと話があるんだけど…
福留 司
俺達に?
三室 弥生
そう。あの倉科君と燎君と柚稀ちゃんについての話。
福留 司
なになに?
大野 優花里
倉科君の話!?
簡単に食い付いた…。
三室 弥生
ほら、柚稀ちゃんってあの二人と仲が良さげじゃん?
大野 優花里
あー…確かに。なんかやだ。
三室 弥生
でしょ?
福留 司
てか、転校生が何で転校初日からあんなに女子からのモテ度トップのあの2人と仲がいいのかが分からないんだけど。もっと離れた方がいいと思う。
三室 弥生
私も嫌なんだけどさぁ…柚稀ちゃん、劇で今からいつも忙しくなるでしょ?だから、その間に何とかしてあの2人から引き離さないかなって。
大野 優花里
え!やりたい!手伝いたい!!
三室 弥生
ほんと!?
大野 優花里
うん!勿論!!
福留 司
俺も手伝いたい!
三室 弥生
ありがとう!じゃあ、昼休みにお昼食べながら話出来るかな?
大野 優花里
おけ!
約束をして、私は沙羅に今日は一緒に食べれないことを伝えた。
そして、やってきた昼休み。
クラスの女子が固まるような出来事を柚稀はやらかすことになった。
みんながお昼を食べるためにそれぞれの動きをする中、柚稀が出したのはケーキワンホール。
月城 楓
ワンホールって…どうした?
燎 颯斗
柚稀は昔から頭にきたら、ケーキワンホールって決まってるからじゃない?
倉科 拓哉
でも、学校でそれは…
空閑 柚稀
別にいいでしょ。クソジジイには毎日ムカついてるんだし、やっぱ劇になると殴るわけにいかないしさぁ…
「いただきまーす」と口にして、ワンホールを切らずに付いていたフォークで食べ始めた柚稀。
少し食べたとこで…
月城 楓
柚稀、少し食べたい。
空閑 柚稀
ん、いいよー。
柚稀が一口分取ると、楓の口に入れて再び食べ始める。
月城 楓
ありがと。
空閑 柚稀
いーえー
燎 颯斗
柚稀柚稀、俺も!
空閑 柚稀
しょうがないなー
また一口取ると、燎君の口に入れた。
その光景に教室にいた女子、そして近くにいた司が固まった。
倉科 拓哉
俺は苺がいい。
空閑 柚稀
待って、俺"は"って何。しかも苺。
倉科 拓哉
二人とも貰ってるし。俺、ケーキより苺が好きだし。
空閑 柚稀
大切な苺がぁ〜…
…と言いつつも、柚稀はケーキから苺を一つ摘むと倉科君の口に投げるように入れた。
また女子は固まり、私と司は優花里に腕を引っ張られ教室から出て屋上前の階段へ。
大野 優花里
ねぇ、い、今の何…!?!?
福留 司
ちょ、ちょっと落ち着けって。
三室 弥生
あれは〜…何か凄いね。
大野 優花里
柚稀ちゃんが苺を倉科君のく、くち、口にい、入れて…っ!?
福留 司
早く離そう。早急に。
大野 優花里
そうしよそうしよ!見てる私の方が何かとヤバい!!
三室 弥生
あー…そう言えば、さっき燎君から聞いたんだけどね。
福留 司
ん?
三室 弥生
結構な一途らしくて、倉科君はずっと柚稀ちゃんが好きらしいよ。
大野 優花里
えっ…
倉科君の好意の先に優花里が言葉を失う。
でも、スグに立ち上がると両手を握って…
大野 優花里
絶対に離れさせる!!そして、いつか私の方を見てもらうんだから!!!
そのとき、私は改めて優花里は本気で倉科君のことを大好きなんだな…と実感した。

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