沙月がそう言うと、雪奈が目を丸くする。
よしっ、きた。
雪奈の一言で沙月と綾の疑惑の目が確信した目付きへと変わっていくのが分かる。
あからさまに嫌そうな表情を見せる沙月。
綾も何とも言えない表情をしていた。
そのあとはお菓子を食べながら、学校のこととかを話して、結局ネイルはしなかった。
まぁ、いつでも出来ることだしいいけど。
3人と話している間でも、私はとにかく明日のことしか考えてなかった。
早くめぐみの落ちる姿を見たい。
ただそれだけを考えていた。
そして、次の日。
わくわくしながら教室に入ると、既に沙月と雪奈が来ていた。
2人と話しているときに、ふと横目で教室を見渡すと、琉依といつもなら遅刻ギリギリにくる柚稀の姿があった。
柚稀が椅子に後ろ向きに座って、組んだ腕を机の上に置いて琉依と話している状態。
琉依と目が合ったが、何事も無かったかのように、また柚稀と話し出す。
雪奈が馬鹿で助かった…。
心の中で安堵のため息をつく。
こんなところで琉依と柚稀との関係がバレたなんてことがあったら、私の下剋上に支障が出てしまう。
それにあの2人を敵に回しても大変だ。
朝練が終わった綾とめぐが教室に入って来る。
やっと主役の登場。
そして、やっと1軍派手系を落とせる…!
そう思うと、心が弾み、私は満面の笑顔でめぐみと綾に「おはよう!」と元気な声で言った……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!