颯斗、楓。お友達来たよ〜。
柚稀が錬だった時から性格とかたまに見せる笑顔とかが好きで!流石に俺ヤバいって思ったけど!男が好きだったって言われたらそうなるかもしれないけど、俺は男でも女でも柚稀が好きだから!!でも、結局女だったからそれで良くないか!?
あ、母さん。お友達って先生じゃん。
教育実習生の方ですよね?ごゆっくりしてってください。
ありがとうございます。
あと拓哉君。
は、はい!
廊下まで声、聞こえてたよ。
……。
ねぇ?あんなに大声で言われると恥ずかしいよね?柚稀ちゃん。
えっ…?
廊下の方を見た颯斗の母さんが歩いてきた柚稀の頭をポンポンと撫でた。
その瞬間、颯斗が歓声を上げる。
おぉ!昔のじゃん!かっこいい!
柚稀。何でいるの?
い、いや…唯我が忘年会とか言ってたから撮影の時間巻いて暇な時間作って、それで来たんだけど……やっぱ、帰ろうかな!
いやいや!ここまで来たら、帰ったらダメに決まってるじゃん!!
逃げようとした柚稀を先生が「逃げるの無し!」と捕まえて、中に入ったところで颯斗の母さんが扉を閉めた。
……。
……。
拓哉君〜。大声で反論したのが悪かったみたいだね〜。
………お前…いつか覚えとけよ…。
じゃ、拓哉は颯斗の母さんで中断されたから先に先生いく?
え、ちょっと待て。
ん?俺も?てか、何やってんの?
ぶっちゃけ話。
聞いて ───
そうだな。ぶっちゃけって言うかただの事実なんだけど、3学期からお前らのクラスの正式な副担任になるからよろしくな。
おぉ、マジですか。
楽しくなりそう!
一瞬で教育実習生卒業しましたね。
俺が偉いからな!
ドヤ顔で言った先生にみんなから笑顔が零れる。
拓哉は何か言いたそうに顔を真っ赤にしていたが、みんなスルーしていた。
柚稀。いつまで隠れてるんだ。
別に隠れてなんか…
はい!次は柚稀の番!
…実はこの先生、俺の近所の人で軽く言うと幼馴染です。
え、マジで?
うん。颯斗と…拓哉…は会ったことあると思うけど。琉依は澪晴のお姉さんに会ったことある。
…あ、あの人?孤児院の澪里さん?
そう。あの立派な澪里ちゃんの弟がこのひねくれた澪晴。
すげぇ、嫌な奴みたいになってんぞ。
2人には…はる兄が分かる?
あぁ!あのお兄さん!
分かった…
そう言えば、よく言ってたね。はる兄が本読んでくれるから睡眠には困らないとかはる兄はいつも遊んでくれるから凄い優し ───
小学校時代に言っていたことを思い出しながら話していると、柚稀が俺の頭を掴む。
何か言ったかい?
…いえ、何も。
お前、昔からの知り合い?私達と同じ小学校じゃなかったっけ?
あ、口滑らせたかな。
ん〜、この際言っちゃうのがいいや。
もう1つぶっちゃけ!俺は実は小学校の頃に自殺未遂した黒崎錬の親友のるーです!てか、漢字自体読み方をるきからりゅうきにしただけ!
良かったじゃん、柚稀。死んだと思ってた親友見つかって。
ほんと、良かった。
じゃ、最後は拓哉か?
………俺、言った…。
澪晴、聞こえてた?
いや、何も?
…嘘つけ……
地味に悪口言わない。
うん。もういいよ、ぶっちゃけ話終わりだ終わり。これ以上続けるのはやめようよ。
壊れた?
正常運転、何も異常無し。よしっ、澪晴。現場に戻ろう。
ん?もういいの?
ああ、みんなの元気そうな姿見れたからこの後も頑張れるし。
俺も戻る。
了解。じゃあな、始業式で。
始業式からよろしくお願いしまーす
何か知らないけど頑張ってね〜
行ってらっしゃい。
行ってきます。
つむじ風のように颯爽とやってきた柚稀は一瞬にしていなくなる。
終わったね、拓哉。
いつか学校中に心霊番組にビビってたことバラしてやるからな……
やめて。
秘密って人それぞれだな。
だね。ちなみに凌久はああ見えてアルバイト先はオカマバーだよ。
それは酷い。
オカマバーが暴力団総長とか団員聞いたらみんな笑うね。
本当にその事実と知った時、俺は柚稀と道端だったけど声を出して笑ってしまった。
あの強面がオカマバーとかショーかよって。
…3学期は先輩達のクラス。楽しくなりそうですか?
なりそうじゃなくて、楽しむんだよ。
拓哉がかっこいいこと言った!とみんなが思ったのに颯斗が「…と男好きが言ってます」と足したせいで颯斗は拓哉に叩かれていたが、部屋には笑顔が零れていた。
私にはどうしても腑に落ちないことがある。
そのことを話すため、また後日に雅、広瀬、八神とファミレスで集まっていた。
琉依〜、話ってどしたの?
桐山が自殺した。原因は小学校の頃のいじめの主犯で片方が誰かに殺されたから自分が殺される前に自分で死んだらしい。
えっ、マジで?桃香、死んだの?
死んだ。
桃香…
いじめられていたのは黒崎錬。で、その本人に話を聞くと"ある子を除いてみんないじめの存在を知っていたのに誰も助けてくれなかった"だと。
うわ〜、それは酷い!それでそれで?
八神。お前、確か桐山と同じ小学校で同じクラスだって言ってたよな?お前は小学校で何故自殺をしようとする人が出るまで助けようとしたなかった?
私がそう言うと、八神は黙り込んだ。
ずっと気になっていた。
自分が来れなくなったから、わざわざ来れるようにするために桐山は下剋上をした。
それなのに、1番最後はその本人を蹴落とすようなことを八神はした。
性格が悪いとしか思えない……
…もしかして、主犯まではいかずとも一緒にいじめてた感じ?
答えろよ。
何で…そんなにこだわってるの?
大切な親友だから。
急に笑い出した八神を見て、私は正直この場でぶん殴りたくなったが冷静になった。
雅と広瀬が驚いた表情で八神を見ていると、八神は目に浮かんだ涙を拭う。
はぁ〜…小学校時代、私はアイツのグループに属していた。でも、アイツは自分の都合にいいように私を使った。いつもはパシリのようにするくせに抜けるって言ったら親友でしょ?って言ってさ。それで次に会ってみたら何も記憶のないいい子ちゃんとかムカつく要素しかないでしょ。
…錬をいじめないと自分がいじめられるからいじめたでいいか?
うん。正直、私は黒崎君が羨ましかったよ。琉希ちゃんっていう私とアイツみたいな上辺の仲じゃなくて相手のために自分の身も滅ぼしかねないような親友がいて。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。