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第138話

お泊まり会の裏には…
篠田 徹
ってここ…
八代 琉希
おっ、徹ー。
琉希が自分の家は狭いから空閑の家でお泊まり会しようと誘ったあの日。


俺は着いた瞬間、表札の「漣」というのを見て頭の中の疑惑が確信に変わっていた。
篠田 徹
お前…これただのお泊まり会じゃないだろ?
そう聞いたが、琉希はいいからと俺の背中を押してリビングへと入れた。
八代 琉希
まぁ、そうなんだけどね〜…ちょっとした真剣な話がありまして。
まだ家にいないと言っていたはずの空閑がソファに座ってスマホをぼんやりと見つめている。
篠田 徹
………おい、錬。
すると、空閑はパッと顔を上げて俺を見ると口元がニヤリと笑った。
空閑 柚稀
気付いた?
篠田 徹
そりゃな。小学校の頃、自分で俺には漣さんが親ってこと言っただろ。
空閑 柚稀
学校でも言ったのになー。
篠田 徹
あの時は、疑惑程度でそこまで本気にはしなかったから。
空閑 柚稀
そっか。まぁ、座ってよ。
錬に促されて俺は錬の向かい側の椅子に座る。
琉希が錬の隣に座ったところで錬が口を開いた。
空閑 柚稀
まぁ、簡潔に言う。唯我の彼女である三室弥生を殺す許可が欲しい。
篠田 徹
…は?いきなり何言い出すんだよ。
空閑 柚稀
まんまの意味だ。俺が探し続けた主犯は峰本沙月と三室姫華。で、名前を変えた先が三室弥生。だから、一応聞いておこうと思って。
篠田 徹
弥生がお前がずっと言ってた主犯?そんなわけないだろ。だって、話していたことと性格が凄い違う。
空閑 柚稀
三室弥生は自分の地位のために平気で人を殺そうとしたヤツだよ?
いきなり言われたことに頭がついていかない。
すると、錬は軽く溜息を零しスマホを俺に見せた。


そこに映っているのは右足が無い怜央の写真。
背景から見て、病院だろう。
空閑 柚稀
桃原が「最初は弥生の下剋上教室を手伝っていたけど、夜に口封じのために押されたから事故にあった」って。ちなみに右足は病院で切断されたんじゃなくて、トラックに轢かれた時に引きちぎれたらしいよ、可哀想に。
篠田 徹
嘘だ。
空閑 柚稀
嘘だったら、何であそこで桃原は嘘をつく?何で三室弥生は桃原を押した?
篠田 徹
それは…
空閑 柚稀
もう1つある。矢野が死んだやつ、桃原と三室弥生が仕組んだらしいが桃原は死ぬまでとは思わなかったらしい。でも、三室弥生は死んだってのを聞いて笑ってたとも言ってた。
その錬の目は俺が信じたくない内容を冗談無しの本気の目だった。
八代 琉希
ちなみに言うとね。柚稀がバスケ部から追放されそうになったのも弥生が福留君と大野ちゃんを利用してやったことだよ。
そこまで言われると何だか悲しくなってきた。
俺がそんなに見る目が無かったって思って。
篠田 徹
……錬、その話を俺が誰かに言うって言ったらどうするんだ?
空閑 柚稀
言いたきゃ、言えばいい。自分の利と損を考えた上でな。圧倒的に損の方が多いと思うけど。
篠田 徹
例えば?
空閑 柚稀
まず、俺がいないことであの映画の話が無になる。つまり、他の出演者への迷惑。次に捕まったら三室弥生の全てを話すつもりだから唯我は"殺人犯の彼氏"ということでみんなに伝わる。俺はアイツを自殺ということで殺すつもりだからそれなら唯我は"何も知らなくて付き合った彼氏"で周りからの身は守られる。
篠田 徹
確かにそうだな…でも、それは見つからなかったらの話で言わなくても見つかったらどうするわけ?
空閑 柚稀
俺が全ての罪を被る。どうせ、俺が捕まれば"あの事件"のことも探られるだろうし。
篠田 徹
あの事件?
八代 琉希
"報復学級事件"、知らない?
篠田 徹
あぁ、あれか。クラスの中でいがみ合って最終的に死者も出たって。
空閑 柚稀
そう。実のところ、ほぼ俺だけどね。
篠田 徹
マジで?
空閑 柚稀
マジで。
篠田 徹
なぁ、琉希。お前は何でいるんだ?
八代 琉希
柚稀の手伝い。ほら、このノート。
琉希が机に投げたのは「復讐ノート」と書かれていて、復讐が黒で塗り潰されて報復に書き直されている古びたノート。
八代 琉希
本当は俺の下の名前、琉希って書いて読み方はりゅうきじゃなくて"るき"なんだ。
篠田 徹
るき?じゃあ、錬がいつも言ってた、るーってのは琉希だったってこと?
八代 琉希
そう。
空閑 柚稀
ほんと、びっくりした。るーが男だったとは思わなかった。
八代 琉希
母さん、本当は息子じゃなくて娘が欲しかったんだって。なのに、息子だったから名前を女の子にして女子として育てられたっていう。
漣 悠翔
……違うよ。
空閑 柚稀
悠翔!?
いつの間にか、リビングの入口に立っていた錬の弟に錬が声を荒らげる。
空閑 柚稀
いつからいたんだよ!!
篠田 徹
ちょっと落ち着けって!
漣 悠翔
姉さん、俺には分かるから…。小学校から今までずっと罪悪感を持っていることも、呑気に生きているあの人達に悩み続けることも…。
錬の弟が辛そうな顔で錬に語りかけて、錬が頭を押さえて椅子に座る。
空閑 柚稀
……怒鳴ってごめん…悠翔…。少し頭に血が上ってた…
漣 悠翔
全然大丈夫。
空閑 柚稀
で…違うって何が?
頭を冷やした錬が座り直したところで、錬の弟がソファの背もたれに座って口を開く。
漣 悠翔
琉希の親は女の子を産みたかったのに男の子を産んだんじゃない。琉希の親は女の子を盗もうとしたのに間違えて男の子を盗んだんだよ。
八代 琉希
え?
篠田 徹
盗んだ?
漣 悠翔
琉希は一卵性双生児。しかも、ごく稀な男女の組み合わせ。確率は2000人から3000人に1人いるかいないかのほぼ0に等しい。
空閑 柚稀
玲依と結依は奇跡?凄いじゃん。
漣 悠翔
まぁ、それもそうだけどね。
篠田 徹
じゃあ、琉希は一卵性双生児の片割れで琉希の親は女の子を連れて行ったつもりなのに男の子だったから女の子にしようとしたってことか?
漣 悠翔
そうです。
八代 琉希
確かに、俺は親と似て無さすぎるって前から思ってたけど…
空閑 柚稀
てか、何で悠翔がそんなことを知っているわけ?
漣 悠翔
…琉希の母親って産婦人科で働いていたんだよね?
八代 琉希
ああ…
漣 悠翔
俺、中学校の頃に少し気になることあって行って調べたんだ…。その時、分かったんだけど琉希の母さんは母さんが姉さんを産む時の担当をしていた。で、その書類には姉さんはただの女の子とだけ書いてあった。
その瞬間、聞いていた錬と琉希が固まった。
俺は立ち上がって、錬の髪ゴムを取って髪をわしゃわしゃと動かして琉希に髪型を近づける。
篠田 徹
似てんな…。
八代 琉希
待って、マジで言ってんの?
篠田 徹
マジで。
漣 悠翔
琉希って姉さんの1日後が誕生日だったよね?
空閑 柚稀
うわ〜、驚き…
漣 悠翔
母さんは2回も奇跡起こしたんだよ。
感心したようにマジマジと琉希を見ている錬。
すると、琉希が「あっ!」と立ち上がった。
八代 琉希
いいこと思い付いた!…でも、その前にまだ答え聞いてないか。徹、弥生のこと諦めてもらっていい?
篠田 徹
……ああ…本人には申し訳ないけど、お前らの頼みじゃな。いいよ、それに警察にも言わない。
本当に弥生には申し訳ないけど…
錬が苦しんでいたのはずっと知ってたし、るーが…いや、琉希が自殺未遂になってからもっと苦しんでいたことも知ってる。


それを考えると、そう答えたくなっただけだ…。
空閑 柚稀
ありがとう、唯我。本当にごめんな。
篠田 徹
大丈夫…。
錬が少しだけ申し訳なさそうに言った時、俺は黙っていることで共犯者になるのかと思ったが、あの頃のコイツのことを思い出すと何とも言えない気持ちになったのだった…。