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第92話

1軍の連続降格
倉科 拓哉
この内容…
夕凪 沙羅
…そんなに驚いてどうしたの?
バスケ部絡みだったことでメールの内容が少し気になったのか、沙羅がメールを見に倉科君達の方へ。
私も沙羅に混じってメールを見に近付いた。
倉科 拓哉
ほら…。
10/21 22:57
To:お母さん
title:お誕生日おめでとう!
柚稀、少し早いけどもう17歳になるね。
この時間だともう疲れ切って寝ちゃってるかな?
でも、今日だけはごめんね。

悠翔との銀河鉄道の夜。
本当に凄かった!あんな短期間でよくあそこまでカムパネルラをコピー出来たね!
見てて、思わず泣きそうになっちゃったw

学校はどうかな?楽しい?
お母さんの教えたこと、役に立ったかな?
バスケ部の子達の練習を見させてもらったけど、みんな楽しそうにバスケしてて嬉しかったな〜
昔から柚稀はバスケが本当に大好きだったよね。
教えたら夢中になって練習して、いつの間にか代表だったのにお母さんが負けちゃうようになったw
いつも楽しそうにバスケをしている柚稀がお母さんは凄い誇らしかったよ!
私と同じプロになれるかも!

柚稀がプロになったらその試合見たいな〜!

でも、ごめんね。
お母さんのその願いは叶いそうにないや。
実は半年前、医師にお母さんは末期がんで余命が3ヶ月って言われちゃってたの。
でもね?楽しそうに笑っている姿を見ると、力が出てきて余命宣告の2倍も生きられた!

柚稀はいつでも優しくて、本当にいい子。
お母さんも忙しかったから、そんな柚稀にかなり甘えちゃった。
お姉ちゃんとして悠翔や玲依、結依の面倒をいつも見てくれてありがとう。

いつも言うけど、無理はしないで?
体調管理には気を付けて?

最期まで黙ってて本当にごめんね。
お母さんはいつまでも天国で見守ってるよ。
ずっと、ずーっともう永遠に大好きなんだから!

柚稀達がお母さんの子で本当に良かった。
生まれてきてくれてありがとう。

これからも優しい柚稀でいてね。
三室 弥生
嘘…
私がそう呟いた時、楓が無言でスマホの画面を私達に見せてきた。その画面には…
『"得点女王" 空閑瑞稀 元選手、死去』
月城 楓
………そのメールの17分後。自宅で息を引き取ったって…。
燎 颯斗
じゃ、じゃあ、瑞稀さんがバスケを教えてくれたのも、俺と拓哉に"外せない用事"って言って誕生日プレゼントと伝言を託したのも……
月城 楓
多分、自分の死期を悟って子供のためにやってあげれることをやってあげたかったってことだろう…。
夕凪 沙羅
あんなに…っお元気だったのに…!!
既に沙羅は泣いていて、小さく嗚咽を漏らしながらハンカチを握り締めている。


きっと、最近見たときは本当に普通に見えたからこそ悲しくなるんだろう。
そういうことだったのか…。
「どっちを選ぶのも柚稀の自由だけど、ちゃんと自分を持って、環境に合わせて嫌いにならないで」
練習のときに瑞稀さんが倉科君達に頼んだ伝言の意味がようやく理解出来た。
環境に合わせてって言うのは瑞稀さんが亡くなった時の話だったんだ…。
自分が死んでもそれを理由にバスケを嫌いにならないで、バスケを離れないで、という想い…。


多分、柚稀の「辞めようか悩んでたけど」って言葉は伝言をまだ聞いてなかったから。
そこに倉科君がトドメの言葉をぶつけたから、瑞稀さんの死とその言葉で簡単にバスケを辞めるって言ったのか…
そこまで考えたとき、私の中にあったのは柚稀への同情ではなく、ここまでいけばもう立ち直れないんだろうなという柚稀の負った傷をラッキーだと思う考えだった。
月城 楓
柚稀が犯人じゃないと思うけどな…
そんなことを呟く楓だったが、その呟きは私以外には届かなかった…。















次の日、劇が全て大成功に終わり学校に来た柚稀。
でも、その机は日々、恨みや妬みを持っていた女子達の手によって汚されていた。
死ね、学校来んな、芸能人気取りかよ
そんな言葉が沢山並んでいる。
柚稀は無言で真顔で机を眺めると、その言葉を消そうともせず普通に座ると机に伏せた。
授業の間の休み時間になってトイレに行けば、数人の女子がついていくようにトイレへ。
授業が始まってから帰ってきたと思うと、全身びしょ濡れで先生も固まる。
先生
く、空閑。どうした?びしょ濡れじゃないか。それにお前の机も…
空閑 柚稀
…別に何もありません……。死ねって書かれても別に仕方ないですよ…。死ぬのに相応しいのは母じゃなく私だったんで…。
死んだような目でそう先生に伝えると、柚稀は鞄の中からタオルとジャージを取り出すと、教室からいなくなった。
女子
何あれー?めっちゃ汚いじゃ〜ん!
女子
雨でも降ったんじゃない?
クスクスと笑う女子達。
横目で倉科君を見ると現実逃避か、聞かないようにしているのか、下を向いて耳を塞いでいた。
ジャージで帰ってきた柚稀は何事も無かったように授業へ。
授業中に女子がゴミを投げても聞こえるくらいの声で悪口を言ってても柚稀は微動だにしなかった。
昼休み、教室にグループが出来る中でのぼっち。
日頃の不満が溜まっていた女子が大声で悪口を言いながらお弁当を食べていた。
篠田 徹
女って怖いな。
榎本 凌久
でも、別に良くね?俺、アイツマジで嫌いだし。
三室 弥生
スルー力、凄いよね。
楪 千棘
あの机で堂々と授業受けんのは笑う。
夕凪 沙羅
多分、濡れたのもあれっしょ?女子が水を頭からかけたとかでしょー?
榎本 凌久
アイツにはそれがお似合いだろ。
凌久が机に伏せる柚稀を見ながら嘲笑う。
楪 千棘
確かに。転校生のくせに調子乗りすぎっだって。マジうざっ
三室 弥生
……。
私も一応、転校生なんだけどね…。
???
ねぇ。
柚稀の方から声が聞こえ、私の視線は自然とそっちに向いた。
三室 弥生
何で…
榎本 凌久
は?アイツ、どうした?
机の前にしゃがんで柚稀を揺すってたのは、私が全く予想をしていなかった琉希だった。
空閑 柚稀
……。
顔を上げた柚稀が琉希を見て、少し不思議そうな表情を浮かべる。
琉希は手を前に差し出すと、何も無い状態から手に一輪の花が現れた。
「あげる」と言われ受け取り、今日初めて上体を起こした柚稀を見て、琉希が…
八代 琉希
昼飯は?
空閑 柚稀
……持ってきてない…。
八代 琉希
食堂とか購買は?
空閑 柚稀
何か…行きたくない…。
八代 琉希
じゃあ、俺のパン1個あげるから何処かで一緒に食べよ。
柚稀を立たせて近くの机から自分の鞄を取ると、教室の外へと向かおうと手を引きながら歩いていく琉希を凌久が声をかけ止めた。
榎本 凌久
おい、琉希!
八代 琉希
何?
榎本 凌久
いきなりどうしたんだ?そんなことしてるとお前もいじめられるぞ。
八代 琉希
だって、濡れ衣被せられて母親が亡くなって辛いでしょ?
榎本 凌久
濡れ衣?悪いのはそいつだろ。
八代 琉希
俺はしてないって信じてるし、強者は弱者を守る。当たり前のことだろ?それが例え、嫌われようともさ。
笑ってそう言うと、琉希は柚稀の手を引いて教室から立ち去った。
私は琉希の言葉を聞いて、背筋が冷えた。
「強者が弱者を守る、当たり前でしょ。」
いつしかの夢で聞いたあの言葉。
何で琉希があの子と全く同じことを…?
あの子の前にいた男の子が琉希と同一人物。
それが私の辿り着いた答えだった。
琉希は次の日も柚稀の傍にいるようになった。
周りから変な目で見られて、周りから一緒にいない方がいいと言われてもそんなことないと笑うだけ。
みんながスルーし始め、5軍に落ちたとしても琉希がその行動をやめることはなかった…。