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第52話

正義
私がトップになってから数週間経った頃。
桐山 桃香
あー、掃除とかだっる〜
広瀬 雪奈
それな!何でウチらなんだろ〜
私は雪奈と2人で黒板掃除をしていた。
月に一度の大掃除で場所決めのときに楽そうだったから黒板に雪奈と手を挙げたものの、実際にやってみると、かなりめんどくさい。
黒板を濡れ雑巾で拭いて、チョーク入れも拭いて、水を入れて捨ててまた拭く。
黒板消しは黒板消しクリーナーを使うから楽だと思った。だが、黒板消しクリーナーも黒板掃除担当だったから結局は汚すだけ後がダルい。
桐山 桃香
挙げるやつ間違ったよね〜
広瀬 雪奈
ほんと、他の人がやればいいのに〜
そうボヤいていると…
女子
私が代わりにしよっか…?
桐山 桃香
あ、いいのー?
私は満面の笑みでそう言うと、持っていた黒板消しをその子に渡し、仕事を押し付けた。
桐山 桃香
雪奈ー!やってくれるって!
広瀬 雪奈
え、マジ〜?ありがと〜!
女子
うん…。
することも無くなったし、と雪奈と教室を出て行こうとした時だった。
一ノ瀬 穂花
待って。
穂花が私達を止めた。
一ノ瀬 穂花
何処に行くの?
桐山 桃香
どっか。
一ノ瀬 穂花
どうして?
桐山 桃香
すること消えたから。
一ノ瀬 穂花
それなら、黒板掃除の続きをしたらいいんじゃない?
ほんっと、正論ばっかでウザすぎ…
心でそんな愚痴を漏らしながら、私は穂花を見る。
桐山 桃香
いいじゃん。やってくれるんだから。
一ノ瀬 穂花
良くないわ。押し付けたも同様よ。
広瀬 雪奈
もぉ、細かいなぁ。
一ノ瀬 穂花
桐山さん。
桐山 桃香
何。
一ノ瀬 穂花
貴方、変わったわよ。
その一言に私の心臓がギュッと握り潰されたような気がした。
薄々気付いていた。
だけど、そのことを認めたくなかったのだ。
今の私の行動が沙月に似てることを……。
桐山 桃香
そんなこと……
一ノ瀬 穂花
でも、そうなのよ。私だけじゃなくてみんな言ってるの。
桐山 桃香
みんな…?
八神 紅音
そう、みんな。
桐山 桃香
!……紅音…。
八神 紅音
雪奈ちゃんとか綾ちゃんと遊ぶのは楽しいんだけどね、桃香は変わったからあまり乗り気になれなかったの…。
桐山 桃香
どういう意味…?
八神 紅音
沙月ちゃんいじめたの桃香だよね?
いや、沙月ちゃんだけじゃない。有咲ちゃんもめぐみちゃんも雅ちゃんも。
桐山 桃香
ど、どうして…
どうしてそこまで知ってるの…?
今、紅音が上げた名前の中には麗美がいない。
麗美は有咲にいじめられたってことを先に不登校になってた紅音が知るはずない。
そうなると誰かが教えたとしかいいようがない。
まさか、知っていた琉依と柚稀?
慌てて琉依達の方を向くが、目が合った琉依は違うと首を振り否定した。
桐山 桃香
誰が…
鈴木 綾
私だよ、桃香。
桐山 桃香
綾が?
鈴木 綾
うん。
桐山 桃香
いつから?
鈴木 綾
雅ちゃんを尾行した時から。
桐山 桃香
えっ?
あんな前から?
ずっと、黙ってたってわけ?つまり…
……私は下剋上の間ずっと、綾達の手の上で転がされていたってこと…?
桐山 桃香
嘘……
そう考えが辿り着いた瞬間、私はその場に膝を付き泣き崩れた。
桐山 桃香
私が今まで頑張った意味は何…!?こんな不平等の教室を変えたかっただけだったのに…
八神 紅音
桃香…。
一ノ瀬 穂花
そこで辞めれば良かったのよ。でも、貴方は高飛車になった。これからでもまだやり直せるわ。
桐山 桃香
……。
やり直せる?…笑わせないでよ。
ここまで来て、いつもの生活に戻れるわけない。
そして…
こんなことがバレて、この教室で学年が変わるまでやっていける気もしない。
桐山 桃香
……別にいいよ…。
八神 紅音
何で?桃香。まだ大丈夫なんだよ?
桐山 桃香
大丈夫じゃない…っ!!
そう私は声にならない声で叫んだ。
最後まで上手くいくと思った…。
なのに…!!
最後の最後で紅音や穂花、綾に……
物凄く悔しくて堪らない。
紅音のためにやったことで責められた。
私はフラリと立ち上がると、ヨタヨタと歩き、机に置いてあった鞄を手に取る。
こんな学校で私はやっていけない。
こんな学校で過ごせていけない。
もういいや。
全てをリセットして、静かに暮らそう。
そう心に決め……
桐山 桃香
さようなら…。
…と、誰かに聞こえるかどうかも分からないような小さな声で呟くと、私は今日で最後となる2年4組の教室を後にしたのだった……。