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第113話

学園祭 1日目-1
夕凪 沙羅
弥生〜!可愛いじゃ〜ん!
三室 弥生
恥ずかしいからやめて…
本当に一瞬でやってきた千代瀬の学園祭。
みんながノリノリで男子で女装をしている人でも普通に楽しんでいるように見える。
メイド服にカツラを被る燎君を見て、男装の柚稀と楓、メイド服を逃れた倉科君の3人は大笑いでさっき廊下で追いかけ回されていた。
開始1時間で席は満席。
中には倉科君や燎君目当てで訪れた他校の女子も。
「写真を一緒に撮ろう」だの「後で一緒に回ろう」だの見てるだけで可哀想になってくる。
入口には警備員らしき人が帽子を座って変態行為が無いかなどの監視が行われていた。
そんな中、私と沙羅は裏で休憩を取っている。
空閑 柚稀
あ、弥生ちゃん!可愛い〜
三室 弥生
ちょっ、柚稀ちゃんまで…
裏方に入ってきた柚稀が私を見るなり沙羅と同じことを言った。
頭の上の方で一つ結びに結び直しながら、鼻歌を歌う柚稀は何処かご機嫌そう。
何だろうと思っていると、今度は服を着替え始めてウェイターからジャージに着替えた。
三室 弥生
え?どうしたの?
空閑 柚稀
何かね!朝、友達か ───
柚稀が話し出した時に「おい、柚稀!早くしろ!」と声が聞こえた。
空閑 柚稀
あー、今行くから待ってー!…で、今年が千代瀬の80周年記念だから美術部の人は校舎の壁に2日間の間に何か作品を完成させてくれって!だから、そのお手伝い!
夕凪 沙羅
美術部って…あの九鬼君1人だよね?
空閑 柚稀
最初は怖いと思ったけど、話したら結構面白いやつでさー!
九鬼 玲苑
だから、早くしろ!
三室 弥生
わっ!
ついに中に入って来た九鬼君が柚稀の腕を掴む。
九鬼君と言えば、性格がヤンキーだということで有名だった。だが、入っているのは美術部で優秀な成績を収めているらしい。
空閑 柚稀
え、ここ更衣室でもあるんだよ?
九鬼 玲苑
出てくんのが遅せぇからだろ?
空閑 柚稀
それより描く物決まった?
九鬼 玲苑
ああ!勿論!壁には「銀河鉄道の夜」を描くことにした。あれはいい作品だからな!ほら、行くぞ!
そう言うと、柚稀の腕を掴み走り去った。
今度は教室のカフェから「キャッ!」と女子の声と「おい!」と誰かが怒鳴る声が同時に聞こえた。
教室を覗くと、他校の男子生徒と警備員が対峙していた。
警備員
痴漢は論外、お引き取り願います。
男子
はぁ?お客様だぞ?
警備員
引き取れ。
男子
舐めた口聞くんじゃねぇよ!!
一触即発。
男子生徒が警備員を殴ろうとしたが、警備員は軽々と避けると手首を掴み、捻り上げた。
大きな動きで帽子が脱げたとき、相手の男子達の顔色が確実に変わった。
男子
な、何でお前が…
三室 弥生
琉依…
如月 琉依
親友からの頼みだ。まだやるなら表でいくらでも相手するけど?
男子
け、結構です!すいませんでした!!
お金を払うと、男子達は一目散に教室を去る。
琉依は軽く溜息をつくと、落ちた帽子を被り直し、「お騒がせすいませんでした」と頭を深く下げて、元の位置へと戻った。
確かに琉依が警備員なら、そこら辺のヤンキーは頭が上がらないだろうねぇ…
さらに1時間、外に列ができ始める。
その中でも特に目立つ黒ベースの着物を着た女性が教室に入るなり、女装の燎君を見て…
女性
あ〜!颯斗!頑張ってるじゃない!
燎 颯斗
……何でいんの…母さん…。
女性
頑張ってる我が子を見るのが、親の役目じゃない?龍ったら行かないって言い張るから母さんだけで来ちゃった!
そこにやって来たのは先生が言っていたロケ。
有名人ばっかで中には本当にあの高坂隼樹もいた。
教室の女子が悲鳴に近い歓声をあげて、ドアから飛び退くように後ろに下がる。
中には感激すぎて泣いてる女子までいた。
燎 颯斗
ちょっ、向こう行ってて!
裏方に自分のお母さんを押し込んで、何事も無かったような顔で教室に戻る。
三室 弥生
大変だね…
燎 颯斗
ヤクザの嫁が全国放送なんてされたらこっちの身も持たないよ…
席に着いたところで、ロケの進行役のアナウンサーの人が一緒に回る悠翔君や高坂さんにこの教室にいる中で有名な人やそれに関係ある人について話し出す。
すると、スタッフの中の1人が私達のところにやって来て小声で…
女性
あの〜…このクラスの空閑柚稀さんは何処にいますでしょうか?
燎 颯斗
あれ、言われてみればいない…
三室 弥生
さっき、校舎の壁に『銀河鉄道の夜』を描きに行くって言って美術部の人と外に行きましたよ。
女性
そうだったんですか…!ありがとうございます…!
スタッフさんがカンペを3人に見せると、悠翔君は少しだけ驚き呆れ顔になっていた。
高坂 隼樹
そう言えば、このクラスにいる有名人って誰なんですか?
アナウンサー
今話題の誰も知ってるあの方ですよ!ですが、他の生徒に聞くと外で絵を描いているっていうことなのでそっちに行ってみましょう。
カットがかかり、その瞬間角砂糖に群がる蟻みたいに女子達が隼樹さんを囲んだ。
大量の女子から逃げるように悠翔君が私達の元にやって来る。
漣 悠翔
何で姉さん、自由奔放に…
燎 颯斗
どんまいどんまい。
漣 悠翔
てか、颯斗さん結構その格好お似合いですよ…
燎 颯斗
悠翔までやめて。
やがて、ロケがいなくなって人が減ったと思ったが全くの逆で人は多くなる一方だった。


途中で午前の部の材料が無くなったことが唯一の救いで午後の部までの1時間半は自由となって、私と沙羅はクラスTシャツに着替えると一緒に教室を出た。