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第72話

Infinity劇団
放課後、私は沙羅とInfinity劇団の練習場に向かっていた。
三室 弥生
あれ?
夕凪 沙羅
どした?
三室 弥生
あ、ここら辺に見覚えがあっただけ。
何回か見たことがあるバスケットコート。
今日も小さな子達がバスケをして、遊んでいる。
柚稀の家の近くってわけね…
バスケットコートから少し歩くと、『漣』と書かれた表札がある大きな家とその隣に練習場があった。
夕凪 沙羅
ここだよ〜!
三室 弥生
おぉ…
沙羅が門を開け、中へ。
私もその後を追って中へと入った。
沙羅が防音扉を開けると、そこはホールだった。
ホールのステージからは大きな声が聞こえてくる。
そして、その中の1人が私達に気付くと…
夕凪 朱璃
あ、沙羅〜!
夕凪 沙羅
お姉ちゃん!
沙羅はステージ上に走って上がっていく。


本物だ…
少しびっくりしながら、私もステージ上に上がる。
漣 和久
お前が朱璃妹の友達か。
三室 弥生
はい!三室弥生と言います。
漣 悠翔
沙羅さんと同じ部活なんだ。
「よろしく。」と漣さんが頭を軽く下げる。
漣 和久
朱璃妹と三室はいつも通り見て、意見をくれ。俺からも考えるが、一般客からの意見も欲しい。
夕凪 沙羅
はい!
三室 弥生
分かりました。
ステージ脇に移動すると、再び練習が再開。
漣さんの厳しい指導の声が響いていた。
再開はしたけど…
三室 弥生
わっ!
横から風が吹いたと思うと、劇団員からの驚きの声が上がった。
劇団員
漣さん!?
劇団員
大丈夫ですか!?
夕凪 沙羅
あ、柚稀ちゃん…
漣さんに飛び蹴りを食らわした柚稀。
漣さんはいつものことなのか腕でガードしていた。
三室 弥生
嘘…あれが…?
私がそう思ったのは見たまんま。
柚稀とは全くの別人のように見えたから。
いつもの何処かほんわかとした雰囲気は微塵もなく目付きは鋭く冷たい。
いつもと真逆に見えた。
空閑 柚稀
おい、クソジジイ!!どういうことか説明してもらおうじゃん!!!
今すぐにでも殴り掛かりそうな勢いの柚稀を悠翔君が後ろから止める。
漣 和久
いきなり飛び蹴りなんざ、いい度胸してるじゃねーか。
空閑 柚稀
はぁ!?アホじゃないの!?
半ば、キレかかった柚稀が漣さんを睨み付ける。
劇団員
漣さん!この人、何なんですか!
劇団員
そうっすよ。失礼すぎません?
漣 和久
あぁ、別にほっとけ。カムパネルラ役はコイツだ。
その言葉に劇団員の人がしんと静まる。
夕凪 朱璃
えっ、この子がやるんですか?制服的に沙羅と同じ学校みたいだけど…
漣 和久
そうだ。
劇団員
どこ所属なんですか?
漣 和久
無所属。
無名ということにさらに驚く劇団員達。
公平な目で配役を選ぶ漣さんがいきなり無名の人を入れて、さらにそれが主役に最も近い役となると、驚くのも無理がない。
夕凪 朱璃
じゃあ、その子をどうやってスカウトしたんですか?
漣 和久
家にいつでもいる。
夕凪 朱璃
え、もしかして、む、娘さんですか?
漣 和久
ああ、そうだ。
劇団員
娘さんいたんですか!?それって、初耳ですよ!?
漣 和久
まぁ、言ってないからな。
劇団員
え、お、おい、悠翔。お前、姉なんていたのかよ?
漣 悠翔
別にいるけど。
空閑 柚稀
死ね、クソジジイ。
異常に父親を嫌う柚稀を見て、劇団員は仲の悪さから言わなかったと思った感じがした。
漣 和久
練習やれ。コイツらはもう夏休みくらいから練習に励んでいるぞ。本番まであと2週間だ。
空閑 柚稀
そんなの知るか、知ったの今日だし。
ステージ上に飛び蹴りの際に落としたリュックを背負い、柚稀が漣さんに背を向ける。
空閑 柚稀
練習には参加しない。
それだけを言うと、柚稀は私と沙羅に全く気付かないまま練習ホールからいなくなった。
漣 悠翔
父さん。あれで大丈夫なの?
漣 和久
問題ない。練習"には"って言ってたからな。
何事も無かったように練習が始まり、カムパネルラ抜きで最初から最後まで見せてくれた。


やっぱり、Infinity劇団にまでなると、あの学校での演劇は比べ物にならないと思った。
流石、即日完売の超人気劇団……
最後まで見終わると、私達は感想を漣さんに伝え、練習ホールから去ったのだった…。